『日中の失敗の本質』宮本雄二著

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『日中の失敗の本質』宮本雄二著

[レビュアー] 産経新聞社

 現在の日中関係について、2010年、GDPが逆転したことで中国の大国意識と日本の自信が不協和音を奏で、双方の国民感情を刺激し合う状態になった-と元中国大使の著者は分析する。

 日本に対し、戦前の失敗の教訓をしっかりくみとらねば、新たな国家関係の構築は難しいとクギを刺す。「習近平の中国」も、米国との勢力均衡など新思考を打ち出したが具体性に欠けると指摘する。

 著者は本書はあくまで仮説であり、日中関係を考察する上でのたたき台とし、新しい時代の新しい大局的な対中戦略が紡ぎ出されることを期待すると結んでいる。(中公新書ラクレ・820円+税)

産経新聞
2019年5月26日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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