『特捜は「巨悪」を捕らえたか』
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『特捜は「巨悪」を捕らえたか 地検特捜部長の極秘メモ』宗像紀夫著
[レビュアー] 産経新聞社
東京地検特捜部長などを歴任した著者による回顧録。ダグラス・グラマン事件で取り調べた日商岩井常務の自殺を「痛恨」と振り返り、主任検事として捜査したリクルート事件では、疑惑がありながら立件に至らなかった元首相について、時間的制約とともに、リ社の江副浩正元社長の「口が堅かった」と記す。
オペラが共通の趣味という江副元社長らかつて対峙(たいじ)した容疑者との交友挿話も明かされる。押収資料の改竄(かいざん)事件などを引き起こした近年の特捜検察に対し、「成果主義に陥っています」と呈する苦言を現役検事は重く受け止めるべきだろう。(ワック・1500円+税)