<東北の本棚>民間飛行夜明けの軌跡

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仙臺・宮城 鳥人記

『仙臺・宮城 鳥人記』

著者
佐藤陽子 [著]
出版社
青蛙洞
ISBN
9784991016806
発売日
2019/02/01
価格
2,160円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

<東北の本棚>民間飛行夜明けの軌跡

[レビュアー] 河北新報

大正から昭和初期にかけて、民間団体「宮城飛行協会」は複数の複葉機を所有し、空撮、興業飛行や宣伝事業の分野で活躍した。民間飛行が夜明けを迎えた時代に協会メンバーらが宮城県上空から撮影した初公開の写真、飛行関係資料など約200点を収録。歴史の中に埋もれた民間飛行士らの活動を浮き彫りにする。
 1922年、飛行士や整備士、カメラマン、支援者が協会を設立した。中心人物は宮城県初の民間飛行士高橋今朝治(1899~1972年)。仙台・根白石で生まれ、東京の飛行学校で学んで飛行免許を取得した。青葉神社の祭典に合わせて郷土を訪問飛行し、数万人が歓迎した。
 本書は高橋や支援者の子孫らが所有していた四つの写真群を基に構成する。前半は複葉機の写真、高橋が残した飛行士の免状や乗員手帳などを通じ、協会と高橋の歩みを振り返る。木製の胴体やプロペラでできた複葉機は発動機の異常などによって頻繁に墜落した。大破した機体の写真は飛行が命懸けだったことを物語る。後半は上空から撮った仙台、塩釜、松島、石巻市の風景写真を載せ、街の移り変わりを考察する。
 編著者は仙台ひと・まち交流財団職員。2011年、協会メンバーの子孫が仙台市戦災復興記念館に古いプロペラと写真を提供したことがきっかけとなり、子孫らを聞き取り調査する中で写真群の一部を発見した。提供写真には裏書きが少なく、撮影場所の特定は難航。図書館、公文書館の地図資料などと付き合わせた上、現地調査を重ねて1点ずつ謎を解明した。
 青蛙(せいあ)洞080(6046)8941=2160円。

河北新報
2019年6月2日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

河北新報社

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