『「運がいい人」になるための小さな習慣』
- 著者
- サチン・チョードリー [著]
- 出版社
- アスコム
- ISBN
- 9784776210382
- 発売日
- 2019/05/25
- 価格
- 1,650円(税込)
書籍情報:openBD
成功者が実践する「1分ルール」を習慣化して運を味方につけよう
[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)
多くの人は、「運」を偶然性によるもの、あるいは生まれつき天から与えられたものととらえてしまいがち。
自らの力で、「運がいい人」になろうと考える人は限られているわけです。
しかし、運とは自分で高められるものなのだと断言しているのは、『「運がいい人」になるための小さな習慣 世界の成功者が実践するたった1分のルール』(サチン・チョードリー 著、アスコム)の著者。
私はこれまで、数多くの成功者たちとビジネスをともにしてきました。そのなかには、世界中に名を馳せる有名企業の経営者や投資家など、総資産10億ドル(約1000億円)以上の「ビリオネア」たちもいます。
彼らに共通しているのは、皆、「自らの思考と行動で運がよくなる」ことを正確に理解し、運を身につけていることです。(「Prologue」より)
そうした裏づけがあるからこそ、本書においては著者自身が成功者たちに学び、実践してきた「運がいい人」になるための方法を明かしているのです。
とだけ聞くと、真似できないようなレベルの高いことばかりが書かれているのだろうと思われるかもしれません。
しかし、そうではないそうです。成功者ほど日常を大切にし、日々の思考と行動によって運の流れを味方につけているものだというのです。
だからこそ、「小さな習慣」というタイトルがつけられているわけです。しかもそれらの習慣は、たったの1分でできるようなものばかり。
時間をかけずに「小さな習慣」を積み重ねることで、仕事、お金、家庭など、すべての意味で理想的な人生を手に入れることができるというのです。
そんな本書のなかから、きょうは生活習慣についての考えがまとめられた第7章「運がいい人は日常を『ルール化』する ~毎日の習慣に意識を向け、新ルールを儲ける!~」に注目してみることにしましょう。
食事のルーティンを「一日3食」から変えてみる
日本人は長きにわたり、一日3度の食事をとることが当たり前の生活を送ってきました。
子どものころであれば、家で朝ごはんを食べ、学校で給食を食べ、家に帰って晩ごはんを食べる生活パターンのなかで過ごしてきたわけです。
しかし、給食制度の普及していないインドで育った著者の目に、それはユニークな環境として映るのだそうです。
そして、だからというわけではないものの、現在、一日2食の生活をキープしているのだとか。
朝は固形物をほとんど食べず、せいぜいヨーグルトの乳酸菌でお腹をリセットする程度。昼は仕事先でランチをとったり、ビジネスパートナーと会食をしたり、その日の都合に合わせて食事を設定します。
そして夜は、会食や飲み会などのイベントがなければ、食事の時間に間に合うように帰宅して、妻の手料理をいただきます。(200~201ページより)
とはいえ、同じような生活を真似してほしいと言っているわけではありません。自分の体と生活にマッチした、自分にマッチした食事のサイクルを見つけてほしいということ。
著者がこうした一日2食の生活に落ち着いたのも、自分の心身の調子と相談した結果なのだといいます。
著者が朝食をカットすることにしたのは、朝食をとりすぎると頭がまわらなくなったり、眠くなったりすることが多々あったから。
そこで朝食を食べないで過ごしてみた結果、その日は午前中から頭も体もすっきりとした状態で、バリバリ仕事がはかどったというのです。
慣れないうちは空腹を感じることもあったとはいえ、日本では正午にランチタイムを迎えるので、ほんの少しだけ辛抱すれば問題なし。
むしろ満腹で頭に血が巡らないような状態よりも、よほど健康的に思えたそうです。それに気づいて以降、朝食抜きが生活スタイルとして定着したというのです。
その日のスタートを快調に迎えられる、自分のペースを見つけることが大切だということのようです。(200ページより)
起床・就寝の時刻を手帳やスマホに書き記す
就寝と起床は、一日のリズムをつくるもっとも大切な要素のひとつ。そのため、しっかりとルールをつくる必要があるといいます。
そこで私がおすすめしたいのは、毎日の起床時刻と就寝時刻を決めて、それを手帳やスマホに書き記すことです。 わざわざ書かなくても、という意見もあるでしょう。
しかし、これが「目標」ではなく、あくまで「スケジュール」であることが重要なのです。(204ページより)
とくに就寝時刻については、帰宅時刻が日によって異なるため、毎日決まった時刻に床につくのは難しいというかたも多いことでしょう。
しかし、あらかじめ就寝時刻を決めておくことで、生活にサイクルが生まれるという考え方。
たとえば毎日、深夜0時に眠り、朝7時に起きると決めたとしましょう。すると、そこから逆算して、仕事を終えたあとの行動パターンを決められるわけです。
0時に眠るのだとしたら、21時、22時には帰宅して起きたいところ。しかし残業さえなければ、20時に帰宅し、入浴を済ませて家族との団欒の時間をとったとしても、0時就寝はさほど難しいことではないはずです。
では、飲み会などイレギュラーな予定が入った場合は?
もちろん社会人にとって夜の社交は大切ですから、睡眠時間を確保するために欠席するというのは現実的ではありません。
ですから出席すべきですが、0時に就寝するためには遅くとも23時までには帰宅したいもの。
移動にかかる時間にもよりますが、飲み会が22時ごろに終わったとしたら、その時点で時間はギリギリ。
しかしそれは、もし「もう一軒」というムードになったとしても、断る理由になるわけです。なぜなら、0時就寝は優先順位の高い「次の予定」でもあるから。
著者自身、さまざまなビジネスパートナーとの飲み会や、スタッフたちの歓送迎会などに参加する機会は多いそう。
しかし、自分が設定している就寝時刻を守るため、よほどのことがない限り二次会まで顔を出すことはないといいます。
決してお酒の席が嫌いでも苦手でもないのですが、翌日の自分のパフォーマンスを想像すると、無理をして二次会に顔を出しても、十分に楽しむことができないのです。
こうした規律が生まれることが、この習慣のポイントです。 (206ページより)
自分で決めた就寝時刻と起床時刻さえ守っていれば、毎日7時間の睡眠が確保でき、いつでもベストコンディションでいられることになります。
そればかりか、時間的なリミットが決まっていれば、つい飲みすぎてしまうということも避けられるはずですし、二日酔いの心配もありません。
体調管理面においても、一石二鳥だということです。
「きょうは8時間は眠るぞ」と決意したところで、結局はズルズルと夜更かししたりしてしまいがち。でも「○時に寝るぞ」と目標設定をすれば、意外と守れるものだといいます。
改めてコンディションを整えるためにも、ぜひ試してみたいところです。(204ページより)
人は、「ちょっとだけ」なら変わることができると著者は記しています。その「ちょっとだけ」の積み重ねが、やがては自分を大きく変え、成功に導いてくれるのだとも。
本書を参考にしながら、成功者の思考や行動を日常生活のなかに落とし込んでみてはいかがでしょうか?
Photo: 印南敦史
Source: アスコム