書籍と動画を組み合わせる新学習法「コンテンツミックス」とは 教育系YouTuberから学ぶ「Excelの基礎」

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書籍と動画を組み合わせる新学習法「コンテンツミックス」とは 教育系YouTuberから学ぶ「Excelの基礎」

[レビュアー] 澤田真一(ノンフィクション作家)

「YouTuber」と呼ばれる存在に悪い印象を持っている人は、もしかしたら少なくないかもしれない。

が、我々の住むこの世界に素晴らしい知識をもたらしているYouTuberも数多い。知られざる生活の知恵やビジネススキルを分かりやすく解説してくれる「教育系YouTuber」が、ここ最近注目されるようになった。

今回は『おさとエクセル』こと長内孝平氏の著書『できるYouTuber式 Excel現場の教科書(インプレス刊)』を取り上げ、「役に立つYouTube動画」について解説していきたい。

教育系YouTuberの開発した学習法「コンテンツミックス」

さて、Excelである。
同じOfficeでも、WordやPowerPointはまだ覚えやすい。なぜならこれらは「文系」だからだ。ところが、Excelは「理数系」である。計算式の入力が必要で、このあたりがExcel習得の障害になってしまう。

その上、Excelを完全理解している人が同時に教え上手とは限らない。「自分が理解する能力」と「他人に理解させる能力」は別だ。後者の能力に恵まれない人が本を書いたとしても、それは無用の長物と化してしまう可能性が高い。

〈頭にスッと入るExcelの学習法とは何か。そんなことを数年にわたって考え続けた結果、ある1つの答えにたどり着きました。それが「コンテンツミックス」という学習法です。端的に言えば、文章・画像・音声・動画という4種類のコンテンツ形式をすべてミックスした学びの体験を指します。(本書18ページより引用) 〉

長内氏によると、文章と画像は「断片的な情報へのアクセスのしやすさ」に特化しているが、「連続的な情報へのアクセスのしやすさ」は考慮されていない。そちらは音声と映像の役割である。


コンテンツの形式の違いによる特徴

言い換えれば、文字や静画は「点」を教え、動画は「線」を教える。ポイントだけを知っても、それに至るまでの流れを把握できなければExcelもなかなか覚えられない。
そこでYouTubeの出番である。

「書籍と動画」は互いを高め合う

おさとエクセルのYouTube配信動画は、もちろん無料で視聴できる。
それまでも動画を使ったExcel操作マニュアルは存在した。が、それらは書籍と抱き合わせで販売されるDVDで、もちろん無料ではない。しかもその内容は、ただ単に本に書いてあることを一字一句忠実に朗読するだけ……ということも珍しくない。

それは先述のコンテンツミックスとは程遠いものだ。繰り返すが、動画は文章では伝え切れないことを表現するもので、その逆も然り。

〈連続的な操作は動画での学習が最適ですが、忙しい人は動画で学ぶ余裕がありません。だからこそ、情報の要点をつかみやすい本と、分からない個所を深堀りできる動画の組み合わせが、Excel学習の最適解なのです。(本書18ページより引用) 〉


コンテンツミックス学習ができる本書の価値

書籍と動画、この両者は決して対立概念ではない。上手く組み合わせれば、互いの長所を何倍にも引き延ばすことができるのだ。

コンテンツミックスの「効果」とは

本書の核である「Excelの使い方」に関しては、この記事で触れるよりも該当書籍を直接手に取っていただいたほうが早い。

ここで触れるべきは、「他人へ知識を教える方法」である。

この書評の筆者澤田真一は、小学中学高校と「板書をノートに写せない」ことで大分苦労した。これは今でもまったく改善していない。教師から「黒板の内容を一字一句漏らさず書き写せ」と言われたら、頭の中が真っ白になってしまうのだ。1mmもペン先が進まず、その結果クラスで自分ひとりだけがノートを提出できない。

この現象を、敢えて肯定的に説明しよう。黒板に書かれているのはいずれも「点」ばかりである。「線」がまったく見えない。物事の節々をつなぐ流れが視覚化されていなければ、板書をノートに書き写しても無駄にしかならないと筆者の脳が自動的に判断する。

ここでもしも、YouTubeで配信される解説動画があれば話は大きく変わる。断言してしまうが、あとで繰り返し視聴できる動画とテキストがあれば、自分の手で鉛筆を動かす必要などまったくない。現に長内氏のコンテンツミックスは、「話を聞きながらノートないしメモを取る」ということをしなくても構わない。そんなことに労力を使わないよう設計されている。

どうしてこれに近い仕組みが、日本の教育現場で導入されていないのか。
筆者は不思議でならない。

インプレス
2019年7月8日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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