インド神話物語 マハーバーラタ 上・下…デーヴァダッタ・パトナーヤク著

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インド神話物語 マハーバーラタ 上

『インド神話物語 マハーバーラタ 上』

著者
デーヴァダッタ・パトナーヤク [著]/沖田瑞穂 [訳]/村上彩 [訳]
出版社
原書房
ISBN
9784562056491
発売日
2019/04/24
価格
2,052円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

インド神話物語 マハーバーラタ 下

『インド神話物語 マハーバーラタ 下』

著者
デーヴァダッタ・パトナーヤク [著]/沖田瑞穂 [訳]/村上彩 [訳]
出版社
原書房
ISBN
9784562056507
発売日
2019/04/24
価格
2,052円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

インド神話物語 マハーバーラタ 上・下…デーヴァダッタ・パトナーヤク著

[レビュアー] 鈴木洋仁(社会学者・東洋大研究助手)

 紀元前1500年とも3000年とも言われるインドが舞台の長大な神話を、豊富なイラストとコラムを添えて、親しみやすく再話している。

 物語は、親族間の王位継承をめぐる戦争を中心に置く。そこで著者は、偉大なバラタ族を意味する原題(マハーバーラタ)から「ジャヤ」(勝利)に着目して再構成する。

 そうかといって、著者は、血なまぐさく描いてはいない。

 「自然発生的な出来事など存在せず、すべては過去の様々な出来事の結果」だとするカルマに基づくストーリーは、世界を肯定する神を崇拝するためと捉える。だから、カルマを因果応報とあきらめるのではなく、再話のトーンは明るい。

 死者12億人以上にのぼる戦争が賭け事をきっかけにしている点を著者は重視する。詩句10万以上、全18巻にのぼる原典中のこのエピソードこそ、人生は偶然に左右されるゲームだと教える。

 争いの末に即位する王が、賭博で抱いた怒りを克服(勝利)する過程として神話を読むと、重厚な物語は21世紀の私たちに急に身近に感じられる。村上彩訳、沖田瑞穂監訳。(原書房、各1900円)

読売新聞
2019年6月30日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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