小、中学校の同級生だった2人の男が偶然、故郷で再会する。1人は東京の大手企業の部長。もう1人は地元のタクシー運転手。部長の男は故郷の町の施設に入っている認知症の老母を訪ねて帰郷した際、かつての同級生のタクシーに乗り合わせたのだ。
38年ぶりの再会。部長は懐かしげに語りかけるが、どこか“上から目線”だ。運転手はその会話が苦痛で仕方がない。そもそも部長の男とは昔から友達でもなく、嫌いなヤツだったのだから…。
切ない人生の物語を描かせたら著者の右に出る者はいない。「再会」をテーマにした珠玉の短編集。(講談社・1600円+税)
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2019年7月7日 掲載
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