『「非認知能力」の育て方』
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「非認知能力」教育が日本の未来を変える メルカリ小泉社長+ボーク重子対談(後編)
[文] 小学館
6月下旬都内で、「全米最優秀女子高生の母」としてテレビ出演なども多いボーク重子さんと、メルカリ小泉文明社長が「令和時代の子育て」をテーマに対談、勉強会を催した。その内容ダイジェストの、後編をお届けする。
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メルカリ・小泉社長(以下、小):僕は父の影響がとても大きいんです。父は婿養子だったので、家にいるより僕達子どもを連れて外に出るほうが楽しかったのかもしれない(笑)。週末はひたすら父と遊び倒すんです。バッティングセンター行こう、スキー行こう、野球行こう……って。だから、僕には反抗期はありませんでした。
僕らは3兄弟なんですが、いまだに父を入れて4兄弟状態でよく飲みにいきます。
ボーク重子(以下、ボ):「なんでもやらせる」「機会を与える」教育法はお父様からもひき継がれているのですね。
小:ただ僕は今残念ながら忙しいので、平日夜は帰宅時、基本的に子どもは寝てしまっています。だから朝は僕の担当にしていて、6時に起き、3歳と1歳の子どもの着替え・食事からスクールに届けるまで可能な限りしています。
土日はもちろん夜寝るまで一緒にいます。寝る前は必ずいろいろな物に「おやすみなさい」って言いながら……。「カーテンさん、おやすみなさい」「テレビさん、おやすみなさい」「冷蔵庫さん、おやすみなさい」って。そうするとプロセスが習慣になって本人たちの寝るスイッチが入るようになるんです。
ボ:かわいい! これも「非認知能力」を育てる習慣ですね。自分を取り巻く物に目を配る、普段何気なく使っている物にも感謝の言葉を送ることで、心が豊かに育っていきます。
それに、これは大人も子どもも同じなのですが、夜寝るときは、楽しい気持ち、幸せな気持ちでベッドに入ることがとても大事なんです。
小:僕も、幸福学を研究している人に聞いたことがあります。1日の最後に楽しいことを考えると朝起きたときも前向きでいられるって。だから、就寝前にToDoリストの確認とかしちゃダメなんです。「やり残したことがある」とか思ったら残念な気持ちになるじゃないですか。それじゃ、幸せにならないです。「今日はこんなにできた!」って思いながら、笑って寝たい。
ボ:そうですね、先程も話にでましたが、子どもが心の強い幸せな子に育つためには、まず親自身が幸せで自己肯定感の高い人間でないといけない。そのために、「非認知能力」は子どもだけでなく、大人にもとても重要です。
暮らしの中で常に「なんのためにそれをするのか」「自分のパッションはどこにあるか」「それは誰かのためになるか」を考えて行動していくことで、人間力=非認知能力は高まっていきます。
小:それを日々子どもと一緒にできたら最高ですね。
ボ:教育改革のこの大切なタイミングで大人も子どもも非認知能力教育の重要性に気付くことができれば、日本の未来はガラリと変わるはずです。
小泉文明(こいずみ・ふみあき)
株式会社メルカリ取締役社長兼COO。早稲田大学商学部卒業後、大和証券SMBCにてミクシィやDeNAなどのネット企業のIPOを担当。2007年よりミクシィにジョインし、取締役執行役員CFOとしてコーポレート部門全体を統轄する。2012年に退任後はいくつかのスタートアップを支援し、2013年12月に株式会社メルカリに参画、17年4月から現職。
ボーク重子(ぼーく・しげこ)
ICF認定ライフコーチ。米・ワシントンDC在住。2004年、アジア現代アートギャラリーをオープン、2006年、ワシントニアン誌上でオバマ前大統領(当時は上院議員)と共に「ワシントンの美しい25人」のひとりに選ばれる。2017年、一人娘・スカイが「全米最優秀女子高生コンクール」で優勝。日米で講演・執筆活動中。