<東北の本棚>物語と史実の境界探る

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<東北の本棚>物語と史実の境界探る

[レビュアー] 河北新報


『あやしい政宗伝説
元ネタ知って楽しさ2倍。』
千葉真弓[著]風の時編集部

 「刀のつばの眼帯をしていた」「死に装束で豊臣秀吉と対面した」…。そんな伊達政宗の逸話の真偽、そして、元になったとみられる史料を探る。「物語と史実の境目は、それほど明確でも、動かないものでもない」と著者は指摘するが、史料を丹念に追った本書を読むことで、物語との適正な距離感を得られるようになるかもしれない。
 家臣の片倉小十郎が、天然痘で腫れ上がった幼少時の政宗の右目を切り取ったという言い伝えの虚実を考えるにあたって、家臣が書き留めた「木村宇右衛門覚書」にあったエピソードを示した。
 政宗は脇腹にできた腫れ物に苦しみ、小十郎が赤く焼いた鉄の棒で政宗の腫れ物を焼いた。この時、小十郎は自分の脚にも鉄の棒を押し当て、主君と同じ苦しみを味わった。そんな様子が覚書に記されているという。
 覚書や他の記録を分析した著者は「幼少時に右目を切り取ったのではなく、大人になってから脇腹の腫れ物を切り取った、それが後世になって目の話に入れ替わった」と推測する。
 著者は1962年仙台市生まれ。河北新報に漫画「独眼竜政宗」を連載している。史料を読み込む過程で逸話の元となったとみられる記録にたどり着くことがあり、その一部を本書で紹介した。
 風の時編集部022(295)9568=972円。

河北新報
2019年7月21日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

河北新報社

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