【聞きたい。】池森賢二さん 『企業存続のために知っておいてほしいこと』

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企業存続のために知っておいてほしいこと

『企業存続のために知っておいてほしいこと』

著者
池森 賢二 [著]
出版社
PHP研究所
ジャンル
社会科学/経営
ISBN
9784569845029
発売日
2019/06/08
価格
1,760円(税込)

書籍情報:openBD

池森賢二さん 『企業存続のために知っておいてほしいこと』

[レビュアー] 道丸摩耶

 ■本音で語る会社再建のヒント


池森賢二さん

 無添加化粧品やサプリメントで知られるファンケルの創業者である著者が、経営不振からV字回復した時期に社内報に書き続けたメッセージをまとめた。経営の第一線を退いてから社を立て直すまでの16年間のメッセージを「イライラして書いているものが多い」と振り返るが、社員に向けた飾りのない言葉は、あらゆる業界のビジネスパーソンに響く。

 化粧品による皮膚トラブルに悩む女性を助けたいと創業した会社が東証1部上場を果たし、自ら定年と定めた65歳で経営を退いた。「65歳くらいが経営者の限界で、引くことが正しいと思っていた」からだ。ところがその後、社の業績は低迷。10年のブランクをへて経営に復帰した。外から会社を見たことで、立て直すには何をすればよいか分かっていた。

 顧客の信頼を第一に考え、ファンケルの理念に忠実であれと訴える。社員に変革を促すだけでなく、自らを「失敗の名人」と称し、失敗についても赤裸々に記した。「トップの人間性はその会社の社風になっていく。ファンケルは嘘がない会社。すべてそのまま出し、本音で語りかけた」

 どうやったら顧客と社員に喜んでもらえるかを考えてきた会社人生を「こんな幸せな経営者はいない」と総括する。変化の激しい現代、先を見通すことは難しいが「人間は生きている限り、『美と健康』を追い求め続けるのではないか」と考える。

 明るくのびのび働く社員が、成果をあげる姿を見てきた。「仕事を楽しんでいる人は魅力的。どうか楽しんでほしい」と若い世代にメッセージを送る。社員が仕事を楽しめる会社。企業存続のヒントを、またひとつ教わった。(PHP研究所・1600円+税)

 道丸摩耶

   ◇

【プロフィル】池森賢二

 いけもり・けんじ 昭和12年、三重県生まれ。56年8月、ジャパンファインケミカル販売(現ファンケル)を設立、社長に就任。平成15年に会長、17年に名誉会長に退くが、25年1月に経営再建のため執行役員として復帰、同年6月から代表取締役会長。著書に『ファンケルあくなき挑戦』『優しさと感動のこだま』など。

産経新聞
2019年7月21日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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