【児童書】『ねこの小児科医ローベルト』木地雅映子作、五十嵐大介絵

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ねこの小児科医ローベルト

『ねこの小児科医ローベルト』

著者
木地雅映子 [著]/五十嵐大介 [イラスト]
出版社
偕成社
ジャンル
文学/日本文学、小説・物語
ISBN
9784033137704
発売日
2019/02/28
価格
1,650円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

【児童書】『ねこの小児科医ローベルト』木地雅映子作、五十嵐大介絵

[レビュアー] 本間英士

 ■こんなお医者がいたら…

 ある日の夜中、2歳のユウくんが急に体調を崩してしまった。お姉さんのユキちゃんも両親も、焦ってしまい、どうすればいいか分からない。慌てて夜間救急の小児科医に電話をかけ、お医者さんがバイクで往診してくれたのだが、その姿はどう見ても猫だった…。

 松田ローベルトと名乗るこのお医者さん、見た目は猫だが腕は確か。〈はきくだしのときは、からだのなかの水がなくなって、脱水症状になるのが、いちばんこわいんですよ〉。子供が怖がらないように優しく、でも的確に説明してくれる。子育て中の大人は「こんなお医者さんが身近にいたら…」と思うだろう。

 世界には貧困のため医療を受けられない子供がいることなど、ローベルト先生はユキちゃんにさまざまなことを教えてくれる。優しいまなざしが心にしみるし、お別れの場面は切ない気持ちになる。

 絵は漫画家の五十嵐大介さん。かわいくて賢くて、ちょっと不思議なローベルト先生を描き出した。猫の絵本が最近多いが、特におすすめの一冊。(偕成社・1500円+税)

 本間英士

産経新聞
2019年7月21日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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