面接、プレゼン、そして雑談……「声」の悩みに向き合った実用書

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面接、プレゼン、そして雑談……「声」の悩みに向き合った実用書

[レビュアー] 小泉誠司(株式会社ニューベリーサウンド代表取締役)

 コミュニケーションにおいて多くを占めるのが「話す」という行為。その時の主人公は「声」です。そう、あなたの「話」に説得力や魂を持たせてくれるのは「声」なんです。

 話し方やプレゼン力を鍛えたとしても、「声」そのものが響いていなければ、「説得力」には欠けてしまうもの。逆に言えば、「本当の声」が出せなければ、うまく話すことはできないということなんです。なぜなら、声の源は健康体、そして呼吸だから。スムーズな呼吸ができていないとしたら、それは健康体ではない状態だということなんです。そんな不健康な状態では、相手を納得させる話なんて、到底できるわけがありません。

 例えば、人生を決めると言っても過言ではない就職活動での企業面接。例えば、社運をかけたプレゼンテーション。そういった大事な場面で、実は自分の「本当の声」が出せていないなんて、想像しただけで恐ろしくなりませんか? 面接における一番のNGは「声が小さいこと」だという、企業面接官の言葉もありますが、それは単なる音量の大小ではないんです。あなたの気持ちの熱量、そして本当の響きを持たせることができて「あなた自身の声」になれば、あなたの「話」は相手の心に届くのです。「声」を自由自在に操れるようになれば、あとはあなたのもの。伝え方だってニュアンスだって、すべてあなたの思い通りになりますし、それはきっと「自信」にもつながるでしょう。

 私がボイストレーニングの指導を始めてから30年以上の月日が経ちました。初めはプロの歌手、プロの歌手を目指す人の「歌」のためだけにレッスンを行っていたのですが、徐々に玉木宏さんを筆頭とする俳優の方々の「声」の指導もするようになっていきました。その後、「声」に関するレッスンを受けにくる方が増えていき、「プレゼン大会で賞をもらい、昇格できた」「営業で成果を出すことができた」「面接に合格できた」「周りから声が良くなったと言ってもらえた」など、本当の声を出せるようになった方々から喜びの声が著者に届くようになりました。そこで「すべての人が簡単に気持ちよい声を出せるように」と私が考案したのが、本書の核となる「ゆるボイトレ」です。本書は「読者完全参加型の本」です。皆さんの悩みをQ&A形式で解決していく「PART 1」。とかく「謎」の多い声の秘密をクイズ形式で楽しみながら理解できる「PART 2」。PART 2と連動、手軽にできて効果抜群なメソッドの「PART 3」。以上3パートで構成さしました。PART 3のメソッドに難しいものはありません。「できるときにできることをやるだけでOK」という簡単な方法ばかりです。これらは実際に私が遭遇した声の悩みや問題、そしてその解決法です。

 私はこれまでに数多くのオーディションにボイストレーナーや審査員としても関わった経験があります。ある意味、「オーディションのプロ」だと言える面もあるかもしれません。そういった経験から、「勝つ」ための「声」を知っていると自負しています。本書のタイトルにもなった「勝ち声」ですね。

 人は生まれてきたときから素晴らしい声を持っています。そして年齢にかかわらず、素晴らしい声が出せるんです。「1人でも多くの方が本当の声を出せるようになって、笑顔になってほしい」そんな想いで本書を書きました。本書のメソッドで本当の「自分の声の力」を引き出してみてはどうでしょう。そして「勝ち声」で人生に勝利していきませんか?

リットーミュージック
2019年7月26日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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