【児童書】ヒロシマ 消えたかぞく 指田和著、鈴木六郎写真

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ヒロシマ 消えたかぞく

『ヒロシマ 消えたかぞく』

著者
指田 和 [著]/鈴木 六郎 [写真]
出版社
ポプラ社
ジャンル
文学/日本文学、評論、随筆、その他
ISBN
9784591163139
発売日
2019/07/05

書籍情報:版元ドットコム

【児童書】ヒロシマ 消えたかぞく 指田和著、鈴木六郎写真

[レビュアー] 加藤聖子

 ■戦争の本質訴えかける

 今の子供にとって戦争は、社会で習う歴史上の出来事という感覚が正直なところかもしれない。その恐ろしさは頭では理解していても、実感は湧きづらい。
 本書は、戦時中、広島で理髪店を営んでいた鈴木六郎さんが撮りためていた家族写真を紹介している。当時の生活は、今とは比べものにならないほど労苦も多かっただろう。しかし、写っているのは、子供たちのはじけるような笑顔ばかりだ。お父さんの眼鏡をかけたり、道路に落書きしたり、海水浴に行ったり…子供を見つめる親の温かなまなざしや、子供たちのいきいきとした表情に、つい自分の家族を投影してしまう。家族とともにある幸せや喜びは、今と何ら変わらない。
 しかし、現実はあまりにむごい。原爆によって、一家は全滅。笑顔との落差に、言葉を失った。なぜ罪もない、普通の人の日常が一瞬にして消えてしまわなければならなかったのか−。鈴木家の写真は、私たちの感覚に、戦争の本質を強く訴えかけてくる。(ポプラ社・1650円+税)
 加藤聖子

産経新聞
2019年7月28日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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