暑いのに足だけ冷えていたら要注意。漢方視点の「8月に意識すべきこと」

レビュー

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク

1週間に1つずつ 心がバテない食薬習慣

『1週間に1つずつ 心がバテない食薬習慣』

著者
大久保愛 [著]
出版社
ディスカヴァー・トゥエンティワン
ISBN
9784799324820
発売日
2019/06/28
価格
1,650円(税込)

書籍情報:openBD

暑いのに足だけ冷えていたら要注意。漢方視点の「8月に意識すべきこと」

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

日々の仕事や人間関係などに囲まれるなか、私たちの心にはネガティブな感情がたまってしまうものです。

漢方相談を行う薬剤師である『1週間に1つずつ 心がバテない食薬習慣』(大久保 愛 著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)の著者によれば、それは心がバテている証拠。

そんなときは「きょう、口にするもの」から変えていくべきで、次の3つを意識してほしいのだそうです。

心を元気にしてくれる「栄養」たっぷりの食事をとること

心を乱す「炎症」につながる食事をやめること

季節や自然が作用する心の不調の傾向を知っておくこと

(「はじめに」より)

そこで本書において著者は、漢方の考え方(自然が人に与える影響)、心とからだの関係、栄養学、腸活の理論をベースに、毎週、毎月、そのとき、その感情に試すことができる食事の取り入れ方を紹介しているのです。

8月に突入したということで、きょうは「8月 夏(長夏) 強い紫外線による『サビ』からオイルで心を守る」に焦点を当ててみましょう。

「活性酸素」が内臓に負担をかける

外は紫外線が強く、暑く、ジメジメした機構が続くなか、帰省や海、山へと出かける機会が増えてくる時期。そんな日本の8月においては、当然のことながら熱中症予防が最重要課題となります。

どこに行っても冷房が効いているのも、つまりはその影響。しかし冷房で冷えすぎた室内にい続けると、からだの冷え症状が悪化することもあるでしょう。

そればかりか、寝るときの空調の調整がうまくいかず、睡眠も浅くなりがちです。

加えてお盆を過ぎたころからは、ゲリラ豪雨や台風が増えるため、気圧の変化が重なることに。体は汗で脱水気味になり、ミネラルがなくなるため、あらゆることにストレスを感じやすくなるのだそうです。

また自律神経の乱れによって胃腸が弱る一方、紫外線を原因とした活性酸素の大量発生によって細胞が損傷されるため、心もからだも疲れ切っている状態。

そればかりではありません。7月に続き高温多湿なので、「心(しん)」と「脾(ひ)」が弱りやすい時期なのだとか。

いろいろ考えてしまう「脾」と、不安がつのり眠れない「心」の特徴を合わせて「心脾両虚(しんびりょうきょ)」と呼ぶそうで、つまりは心とからだを動かす栄養が減っている状態。

夏の時期は、体に生じるこれだけのストレスや炎症に対抗するため、コルチゾール(ストレスを感じると増える“ストレスホルモン”)の分泌が増えていくのだといいます。

その結果、精神的なストレスにも弱くなり、ちょっとした環境の変化や小さな出来事について考えてしまい、眠れなくなったりするのだそうです。(171ページより)

活性酸素の標的になる「細胞膜」を「オメガ3脂肪酸」で強化

暑い時期にはミネラルや水分の不足が強調されますが、意外と忘れられがちなのが「」。

油にはからだに悪いイメージがあるかもしれませんが、そうはいっても多種多様。体内で合成できず、食べ物からしかとることのできない油もあるのだといいます。

必須脂肪酸である「オメガ3脂肪酸」と「オメガ6脂肪酸」の油がそれ。

オメガ3脂肪酸の油には、あまに油やえごま油があります。これらのオメガ3脂肪酸は体の炎症をおさえ、オメガ6脂肪酸は炎症をうながす働きがありますが、なにも意識せずに食事をとっていると、ほとんどの人がオメガ6脂肪酸をとりすぎてしまいます。

オメガ6脂肪酸は、サラダ油、紅花油、コーン油など、日常に使いやすい価格で、どこでもよく使われている油だからです。(172~173ページより)

オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸の理想の摂取バランスは、「オメガ3:オメガ6=1:2~4」といわれているそう。

ところが、たいていの方は「1:10~40」と、オメガ6脂肪酸ばかりを過剰にとってしまっている状態になっていることが多いのだといいます。

オメガ6脂肪酸だけでなく、トランス脂肪酸(マーガリン、ショートニング、揚げもの等)のとりすぎにより、現代人のからだは炎症状態を起こしやすくなっており、またアレルギーが出やすい体質に偏っていることもあるのだそうです。

そのため、活性酸素の分泌が増えるこの季節、とくに8月は、オメガ6脂肪酸など新たに炎症を起こすような食材を控え、炎症を抑えるオメガ3脂肪酸を含む食材を取り入れると、炎症体質を脱することが可能になるといいます。

なぜなら活性酸素の標的とされる「細胞膜」は、オメガ3脂肪酸を材料としているから。

具体的には、神経伝達物質や赤血球、血管内皮細胞などの細胞膜の材料となり、血行を改善してくれるというのです。

そして、記憶力や頭の回転にも影響するのがオメガ3脂肪酸。そのためストレスによる活性酸素から身を守るだけではなく、発想力や企画力などが低下していると感じるときにも、意識してとるようにすることが大切。(172ページより)

8月の+レスキュー:今月は、お魚を選ぼう

青魚はオメガ3脂肪酸を、お肉はオメガ6脂肪酸を多く含むといいます。

そこで今月は、肉か魚を選ぶシチュエーションでは、魚を選ぶようにするといいそうです。

8月のからだ意識:暇なときに足首を回そう

暑いのに、足だけが冷えているとしたら注意が必要

からだの熱は血液によって全身に運ばれていますが、結構が滞っていると、心臓から遠く、重力の影響も受ける足先が冷えやすくなるというのです。

なのに、寝るときは足の裏が熱くなる人もいるのではないでしょうか。寝るときには深部体温を下げる必要があるため、末梢の血管を広げて手足から熱を放出するからなのだそうです。

しかし、どこかで足の血行が滞っていると、熱がとどまり、暑さを感じてしまうというのです。とくに暑い夜には、ひどく足の熱さを感じて寝苦しくなることも。

そこで、この時期は足首を回し、日中の足の冷えと夜中の足の熱さ対策をすることが大切。

暇なとき、足が冷えたとき、むくみを感じたときなどに、デスクの下で足首をくるくる回すだけで効果があるといいますから、試してみる価値はありそうです。(174ページより)

気候に振り回され、活性酸素がたくさん出るこの時期は、生活の質をひとつずつ高めることを考えるべきだと著者は言います。

やる気がわかなかったり、気持ちを穏やかに保つのが少し難しい月ではありますが、「ダルいから」となにもやらなければ後悔だけが残るもの。

細胞レベルで心とからだに与えられたダメージを、日々の食事で着実に修復していくことが大切だというわけです。

Photo: 印南敦史

Source: ディスカヴァー・トゥエンティワン

メディアジーン lifehacker
2019年8月2日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

メディアジーン

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク