ものにならない発明に血道を上げる父親、生意気盛りの弟とともにつましく暮らす遠山町子。レストラン「ルナ」の隣でたばこ売りをして生計を立てているが、常連客で銀行員の塙は気になる存在。ルナの若いコックも町子の気を引こうとして、恋物語に発展していくかに思いきや…。二転三転するストーリーで、思いもよらぬ衝撃の結末まで一気に読ませる。
著者は作品の多くが映画化されるほどの人気を誇る昭和の大人気作家だが、没後は“忘れられた作家”と呼ばれていた。現在、再ブレイク中で、ちくま文庫として何と13点目の出版だ。(獅子文六著、ちくま文庫・840円+税)
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2019年8月4日 掲載
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