ファンタジーと英国文化…安藤聡著

レビュー

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ファンタジーと英国文化

『ファンタジーと英国文化』

著者
安藤 聡 [著]
出版社
彩流社
ジャンル
文学/外国文学、その他
ISBN
9784779125928
発売日
2019/05/28
価格
3,080円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

ファンタジーと英国文化…安藤聡著

[レビュアー] 宮部みゆき(作家)

 英国産のファンタジー小説といえば、『ホビットの冒険』『指輪物語』『ナルニア国物語』という古典から、『ハリー・ポッター』シリーズ。『チャーリーとチョコレート工場』も、ジブリで美麗なアニメーション映画になった『ハウルの動く城』や『思い出のマーニー』も原作は英国産だ。愛らしいクマのパディントンを忘れてはいけないし、何と言っても『不思議の国のアリス』がある。

 こうした作品群の想像世界を生み出した英国の文化・文芸事情を解説した本書をひもとくと、「なるほど」と「知らなかった!」が次々と出てきて目を瞠(みは)る。特に第七章の「ジェイン・オースティンと児童文学」は、『高慢と偏見』『エマ』などで有名なこの女性作家の諸作品が、その語りの技法を通してハリー・ポッターやナルニアに大きな影響を与えていることを分析しており、ファンタジー小説がお好きな方はもちろん、自分でも書いてみたいと思う方にはとても参考になると思う。映画は観(み)たけれど原作はまだという方には、ガイドブックとしても楽しく読むことができる一冊だ。(彩流社、2800円)

読売新聞
2019年8月4日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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