〈勇気-それは人生を切り拓く剣だ〉。そんな、気持ちのいい言葉で物語は始まる。お世辞にも魅力的とはいいがたい主人公が、「騎士」を名乗ることで、人間として成長していく物語。
友情あり、ミステリーあり、心をときめかせるヒロインとの恋愛あり、エンターテインメントの要素が満載。著者はこの作品をもって小説は最後と表明しているが、撤回してほしいと思うほど。夏の午後にぴったりな、涼風のような爽やかな読後感で、生きる喜びも感じる。真実は世評とは異なることもあるという、著者からのメッセージを受け取った。(新潮社・1400円+税)
-
2019年8月18日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです