【気になる!】新書 『老いの練習帳』
[レビュアー] 産経新聞社
今年96歳の知の巨人が、40年以上前に連載、9年前にまとめた著書を再構成。「平常心を失うことなく先を急ぐ」中庸の妙で、自らに課してきた「日々のルール」を淡々と著す。
「心理について」では、虫のいどころ、腹の虫、虫の知らせなど〈心中の虫にのさばられてはたいへん〉と楽天的で希望にみちた生き方を目指す。「贈り物の昨今」では、〈品物を贈ることに気をとられ、心を伝えるのをおろそかにしているのでは〉と反省も。
休息、常識、身だしなみ、会食など、「わたしはこうして歳を重ねた」と説く47の知恵。傾聴したい。(外山滋比古著、朝日新書・790円+税)