恐竜・古生物ビフォーアフター 土屋健著…イースト・プレス/消えた巨大生物 エマニュエル・グルンドマン、ピエール=オリヴィエ・アントワーヌ著…日経ナショナルジオグラフィック社

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恐竜・古生物ビフォーアフター 土屋健著…イースト・プレス/消えた巨大生物 エマニュエル・グルンドマン、ピエール=オリヴィエ・アントワーヌ著…日経ナショナルジオグラフィック社

[レビュアー] 坂井豊貴(経済学者・慶応大教授)

 恐竜が好きな子どもと接していると、たまに「あれ?」と思うことがある。たとえば図鑑にあるティラノサウルスの立ち姿。私の記憶ではゴジラのように真っ直(す)ぐ立っているのだが、いまは前のめりで、俊敏そうに描かれている。それから大型恐竜のアパトサウルス。私は子どものころ、これをブロントサウルスと呼んでいたと思うのだ。

 『恐竜・古生物ビフォーアフター』は近年の恐竜研究の成果をもとに、そうした変化を教えてくれる。ティラノサウルスの立ち姿は、1970年代にデイノニクスという肉食恐竜への理解が深まり、それが派生して変化をもたらしたそうだ。ブロントサウルスは、アパトサウルスと同じ種類だと判明し、いまはアパトサウルスと呼ばれているという。恐竜の研究も日進月歩なのだ。この本のイラストはどれもキュート。

 一方の『スーパービジュアル再現 消えた巨大生物』は、本格派のCGイラストと実際の写真。恐竜と、恐竜が絶滅して以後の巨大生物がたくさん登場する。体高4メートルを越す南方マンモスや、体長が30メートルにもおよぶシロナガスクジラなどは、巨大というだけでも魅力的だ。ただし巨体の維持は大変で、マッコウクジラにいたっては一生のほとんどの時間を狩りに費やす。

 恐竜絶滅の原因が、メキシコに落ちた巨大隕石(いんせき)というのは有力な説なのだそう。クジラはその危機を生き延びた哺乳類の子孫だが、いまは海に捨てられたプラスチックがその生存を脅かしている。人間が地球に与える影響はすさまじく、生物はそのスピードに適応できない。

 もし恐竜のなかで一番大きな脳をもつトゥルオドンが絶滅していなかったら、ヒトに似た骨格に進化する説があるのだという。群馬県立自然史博物館にその模型があるのだが、姿はヒト型の宇宙人のよう。いまわれわれが跋扈(ばっこ)する地球の状態は、数多(あまた)ありえたシナリオのひとつにすぎない。

読売新聞
2019年8月18日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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