多くの非行少年と向き合ってきた児童精神科医による、問題提起の書。少年院には、見たり聞いたり想像したりする力の弱い者が多数おり、彼らはケーキを等分に切り分けることもできないという。
こうした認知機能の弱い者やIQ85程度の境界知能の者は、日常生活に大きなハンディを抱えている。それゆえにいらつき、感情を抑制できず、加えて反社会的な行動をとったあとに何が起こるか想像できないため、犯罪を起こすケースが多いというのだ。近年目立つ親による子殺しは、境界知能ゆえのパニックの結果ではないか、と著者は推測する。(新潮新書・720円+税)
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2019年8月25日 掲載
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