『「歌だけが残る」と、あなたは言った わが父、阿久悠』深田太郎著

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『「歌だけが残る」と、あなたは言った わが父、阿久悠』深田太郎著

[レビュアー] 産経新聞社

 平成19年に死去した作詞家、阿久悠の長男が、家庭での情景を中心に父の素顔をつづっている。

 「やせがまんとダンディズム」を重んじた父。家でも「どんな時でもキチンとした身なり」で、家族の前でイライラした姿を見せたことはなく、「本当に誇り高い男だった」と振り返る。

 そんな父との日々と、没後見つかった、著者が誕生したときの父の喜びを表した詩、最後の26年間一日も欠かさなかった日記、そして時代をへても残り続ける阿久悠の歌の数々…。その足跡から作詞家として、父として見せた「うしろ姿」への追憶が胸に迫る。(河出書房新社・1800円+税)

産経新聞
2019年8月25日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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