【児童書】『タコやん』富安陽子作 南伸坊絵
[レビュアー] 櫛田寿宏
■夏の終わりのすてきな友達
ある日、海から8本足の「タコやん」がやってきた。「しょうちゃん」はチェーンをかけたまま、ドアを開いてみると、タコやんが「あそびましょ」と誘ってくる。しょうちゃんは「タコと あそぶのは いやだなあ」。でも、軟体動物のタコやんはスルスルと侵入。強引に、一緒に遊ぶことに。すると、8本足の本領発揮。ゲームで遊ぶとそのポテンシャルの高さからハイスコアをたたき出すのだ。
さらに公園に遊びに行くと、ゴールキーパーとしてサッカーに参加することに。またしても、8本足を駆使して、スーパープレーで魅了する。
その後、決まりを守らない傍若無人なおじさんが現れて…。でも最後はハッピーエンド。みんなでハグしてお別れ。
お話の舞台となる公園の一角には、なぜか埴輪(はにわ)が。南伸坊さんの描く、独特な世界観に引き込まれる。
タコやんのようなすてきな友達が、夏休みの終わりに来てくれたらうれしいな。強く願ったら、こんな友達が、きっと来てくれるよ。(福音館書店・1300円+税)
櫛田寿宏