木嶋佳苗、座間9人殺害事件の犯人が住んでいた間取りの不思議な共通点 事故物件芸人とイヤミス作家が語る、ヤバい部屋

対談・鼎談

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お引っ越し

『お引っ越し』

著者
真梨 幸子 [著]
出版社
KADOKAWA
ジャンル
文学/日本文学、小説・物語
ISBN
9784041061657
発売日
2017/11/25
価格
616円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

事故物件怪談 恐い間取り

『事故物件怪談 恐い間取り』

著者
松原タニシ [著]
出版社
二見書房
ISBN
9784576180977
発売日
2018/06/26
価格
1,540円(税込)

【恐怖の事故物件対談】真梨幸子×松原タニシ 怪奇は部屋に現れる

[文] 新潮社

■風呂に響く叫び声


松原タニシさんの新刊『異界探訪記 恐い旅』(二見書房)

松原 事故物件って、なぜか場所が固まるんですよね。インターネットで事故物件を紹介している「大島てる」というサイトを見ても、まわりは何もないのに、同じマンションでだけいっぱい事故が起こっている。

真梨 マップ上の、あるマンションにだけ火の玉がいっぱい燃えてるんですよね(笑)。

松原 不思議というか、面白いというか。

真梨 自分が死んでるって気づかずに突然死んだ人のほうが、地縛霊になりやすいと思うんですよ。自殺した人は自覚があるからかえって大丈夫な気がする。

松原 そういえばこんな話があります。大阪のラブホテルで、裸の男が5階の窓から飛び降りて亡くなった事故があって。たぶん薬か何かやってたんだと思うんですけど、その事故のあとで5階を改装したんですって。そしたら壁から飛び出してくる裸の男の幽霊が目撃されるようになって……つまり窓をふさいで壁にしたのに、それがわかってないらしいんです。

真梨 いつまでもずーっと走ってると思いますよ。そのおじさん。

松原 さっきの真梨さんの話で思い出したんですけど、僕、最初の事故物件に住んでいるとき、買ってきたチョコレートが寝ている間にしょっちゅう無くなってたんですよね。朝起きたら真ん中から破裂したみたいになってる。何やろうと思って、部屋を定点で撮ってたビデオを見直すと、僕が夜中にぱっと起きて自分で食べてるんですよ。

真梨 自分が? やだ。じゃあ、私もそうだったのかな。

松原 いま東京で住んでいる物件は、後輩と同居してるんですが、その後輩から言われたのが「あれ? 最近タニシさん、寝てる間に叫ばないですね」。

真梨 じゃあ、叫んでたんだ。

松原 どういうこと? って言ったら、お風呂でも同じように叫んでいると。

真梨 お風呂でも?

松原 いや、お風呂入ってる時は、僕絶対言ってないですから。起きてますし。

真梨 じゃあ誰の声なんですか?

松原 わかんない。後輩は、僕がそういう癖の人だと思ってたそうです(笑)。


真梨幸子さんのイヤミス小説『初恋さがし』(新潮社)

真梨 私の住んでた郊外のマンションも、やっぱり声がしたんですよね。あそこ、なんだかんだ18年ぐらい住んでいたんですけど。

松原 18年ですか。

真梨 そのあと西新宿のタワーマンションを借りたんですよね。仕事場というか別宅のような感じで、私もタワマンに住める身分になったか、なんて思って。で、あるときどんな人が住んでるのかなと思ってフロアを回ってみたら、どこの家の玄関前にも盛り塩が。

松原 え? 何でですか。

真梨 わかんない。その部屋でもいろんなことがあって、ピンポンダッシュとか、部屋のノブをガチャガチャってされるガチャガチャダッシュとか。

松原 そこってオートロックですよね。

真梨 大使館なみのセキュリティですよ。エレベーターも住んでいるフロアでしか開かない。で、引っ越してしばらくして壁を見たら、何か穴が開いてて。

松原 あっ、怖いなあもうそれ。

真梨 前住んでいた人が画鋲でも刺したのかなと思って、よく見てみたら壁一面全体にばーっと穴が開いてて、それがすごく気持ち悪くて、1年もしないうちに出ました。

松原 なんやったんですかね。

真梨 すごい高級なタワーマンションなんですよ。だからそういう物件って、値段に関係なくあるんだって思って。

松原 高級なところのほうが、いろんなことが起きててもおかしくないですよね。

構成:編集部 撮影:平野光良(新潮社写真部)

新潮社 小説新潮
2019年8月号 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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