すぐ動ける人と動けない人の違いは?「頭出しの結論」を習慣づけよう

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0秒で動け

『0秒で動け』

著者
伊藤 羊一 [著]
出版社
SBクリエイティブ
ジャンル
社会科学/経営
ISBN
9784815600242
発売日
2019/08/23
価格
1,540円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

すぐ動ける人と動けない人の違いは?「頭出しの結論」を習慣づけよう

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

「すぐに動ける人」と「動けない人」では、思考・行動に明確な差が出ることになるでしょう。

ただし、「行動=動く」ということは難しくもあるもの。『0秒で動け』(伊藤羊一 著、SBクリエイティブ)の著者は、この点について以下のように述べています。

動けるようになるための要素としては、「行動しよう!」という「マインド」と、どうやって行動し、人を巻き込むか、という道筋をつくる「スキル」と、そして「アクション(行動そのもの)」があるのです。

それらを鍛えていけば、少しずつ「動ける」ようになります。(「はじめに」より)

そして行動力のある人は、「思い立ったらすぐ行動」→「行動したら振り返って気づきを得る(結果、スキルやマインドが強化される)」というかたちで、マインド・スキルとアクションのサイクルを常に回しているため、結果的に、さらに行動できるようになっていくそう。

著者は現在、ヤフーの企業内大学であるYahoo!アカデミアの学長を務めるいっぽう、ビジネススクールの講師としても活動している人物。

しかし20代のころは、まったく行動できなかったのだそうです。

そんな過去があるからこそ、いま、それなりに活動できるようになってきた自分が、なにをどう考え、変えてきたかをここで伝えようとしているわけです。

そんな本書のなかから、きょうは第1章「結論を出せ!」に焦点をあててみたいと思います。

すぐ動くためには「思考のスキル」がいる

動ける人の考え方

○ 動くための「スキル」を持っている

× 「やる気」のみに頼る

(18ページより)

「ビジネスマンにとって大事なことはなにか」ということがテーマになると、「踏み出すのが大事」「まずは動く」ということが強調される場合があります。

たしかに最終的には、踏み出したり動いていくことが重要になってくるわけですが、「それができないから悩んでいる」という方もいらっしゃるはず。ましてや、「えいや」と勢いで動くわけにもいきません。

そこで、なかなか動けない人は、「こういう状況ならいける」「いまはストップ」「すぐ動くべき」というような状況判断をすべきだと著者は主張しています。

そういう判断をしてから動き、その結果がうまくいったとしたら、「ああ、自分の判断は正しかった」ということになるはずだから。

逆にうまくいかなかったら、「あの判断は違うことがわかった」という改善にもつながります。そして、そんな経験が積み重なっていけば、より精度の高い行動につなげることができるわけです。

だからこそ、動くためには、やる気や勇気だけでなく「スキル」も必要。

100%の確証がなくとも、腹落ちする結論をすぐつくることができれば、自分自身も納得して、自信を持って動き出していけるということです。

ちなみに著者は、すぐ「行動」するためには、①自分なりの結論をすぐ着想し、②仮説を組み立て、③自信を持って踏み出す、という3つが重要だと考えているそうです。(19ページより)

「頭出しの結論」を出そう

動ける人の考え方
○ 「頭出しの結論」が出せる

× 事実とデータの中で悶々とし続ける

(21ページより)

動くためには、「(どう動くかの)結論」を出すことが重要だと著者はいいます。

そもそも「結論」がなければ、どちらの方向に向かっていけばいいのかがわからない状態のままになってしまいます。そこでまず意識すべきは、「頭出しの結論」を出すこと

100%の正解がないなかでは、「まずは結論を出してみること」が大事だという考え方です。

たとえそれが最終結論ではなかったとしても、よりよい結論にたどり着くための頭出し」をすることに大きな意味があるということ。

そこで、「ひとまず結論を出してみた」というノリで臨んでみるといいそうです。

小さな課題や問題なら、この「頭出しの結論」があれば、まずは動けます。あとはトライアンドエラーです。

やってみて、「ああ、これでいいや」とわかればそのまま進むし、「これは間違いだった」とわかれば修正する、ということです。(22~23ページより)

たとえば会議の席で誰も発言せず、シーンとしているとき、仮でもいいので「これは、こういう方向がいいのではないでしょうか?」という意見があれば、それを軸として意見を交わすことが可能になるはず。

「こういうふうにしたほうがいいんじゃないの?」「俺はこうなんだよね」と、最初の意見がきっかけとなって、議論が活発になったりするわけです。

つまり、たたき台が生まれて物事が進むようになるということ。いってみれば、「頭出しの結論」とは、たたき台のことなのです。

もちろん、最初に口火を切るのは勇気がいることです。しかし、そもそも結論がわかっているのだとしたら、会議など必要ありません。

それに、自分も間違っているかもしれないし、相手も間違っているかもしれません。「やってみないとわからない」という状況は、誰に取っても同じだということです。

なお、すぐ動ける人は、「自分なりの結論」をすぐ出しているものだといいます。いいかえれば、「すぐ、(自分の)ポジションをとれる」ということ。

どちらの意見がいいと思うのか、自分の立場や方針を決めることを「ポジションをとる」と言ったりします。

言葉の通り、自分の立つ場所を決めることからきています。 ポジションをとるためには、「自分なりの結論を出して伝える」ことが必要です。(25ページより)

いまの日本では終身雇用制が崩壊し、保身しているだけでは誰にも守ってもらえなくなってきています。

だとすれば、意見を言わないと、自分の身を守ることではなく、「いらない人」「会議に来なくてもいい人」とみなされてしまう可能性があります。

大切なのは、A案かB案かをスピーディに決めて動き出すこと。もし失敗したとしても、すぐにきどうせ風声すればいい。

そう考えられる個人やチームが、どんどん勝つ時代になっているというわけです。著者によれば、行動が早い人は、まずポジションをとるもの。

しかし、「その件はもう少し調べてから……」などと結論を先延ばしにしている限り、行動することは不可能です。まずはたたき台でいいから、自分のなかで結論を出すことが重要だということです。(22ページより)

要点が簡潔にまとめられているため、とても理解しやすい内容。ピンときたことから実践していけば、無理なく行動力を高めることができそうです。

Photo: 印南敦史

Source: SBクリエイティブ

メディアジーン lifehacker
2019年9月11日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

メディアジーン

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