【聞きたい。】森田まさのりさん 『べしゃる漫画家』

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べしゃる漫画家

『べしゃる漫画家』

著者
森田 まさのり [著]/タカハシ アキラ [著]
出版社
集英社
ジャンル
文学/日本文学、評論、随筆、その他
ISBN
9784087880267
発売日
2019/09/19
価格
1,540円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

【聞きたい。】森田まさのりさん 『べしゃる漫画家』

[文] 産経新聞社

 ■「笑い」への愛と「まんが道」


森田まさのりさん

 累計発行部数7500万部超の人気漫画家でありながら、昨年の漫才コンクール「M-1グランプリ」では準々決勝に進出するなど漫才師としての顔も持つ。お笑いがテーマの漫画『べしゃり暮らし』を連載中の著者が、漫画と笑いへの愛をしゃべり尽くした。

 「M-1に出ましたが、本当は話すことがものすごく苦手。実際の舞台で笑いを“浴びた”のは、人生最高の経験でした」

 本書のきっかけも、出演時や舞台裏の写真を形に残すため。自身の漫画家人生を振り返る長文インタビューなども収録しており、読み応え十分だ。「自分は薄っぺらい人間。絵を描くことも苦手なんです」。自身のコンプレックスを率直に告白しているが、同時にいかに志高く努力を積み重ねてきたのかがよく分かる。

 藤子不二雄(A)さんの自伝的漫画『まんが道』に共感し、漫画家を志した。藤子さんと同じくお寺の子として生まれ、跡継ぎとして期待されていたが、夢を諦めきれず「4年間は許してくれ」と上京。4年目で連載を始めた不良少年たちの青春群像劇『ろくでなしBLUES(ブルース)』でブレークした。

 その後も野球漫画『ROOKIES(ルーキーズ)』など人気作を連発。30年以上第一線で活躍を続けてこられたのは、実家の門徒(檀家(だんか))の人に「頑張っている姿を見てもらいたい」からだという。

 「僕には、漫画を描いているからこそ東京にいられるという後ろめたさがある。今の目標は『べしゃり暮らし』を死ぬまで描き続けること。他の人がとても描けないくらい面白い作品にしたいです」

 他にも、子供がまねて描ける親しみやすい絵柄の漫画にも挑戦したいという。

 「僕は漫画家としてまだまだで、『べしゃり暮らし』で何とか満足できる作品が描けた-というのが実感。もっと良い漫画を描けると思っているし、面白いと言われたいんです」

 謙虚でありながら貪欲。もがきながらも軸はぶれない。自身の「まんが道」を歩む姿が、実に格好良い。(集英社・1400円+税)

   ◇

【プロフィル】森田まさのり
 もりた・まさのり 昭和41年、滋賀県出身。63年、『ろくでなしBLUES』で連載デビュー。

産経新聞
2019年9月22日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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