吉本芸人と反社の騒動をきっかけに制作された、ヤクザ絡みの本当にあった怖い話

レビュー

7
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別冊宝島 ヤクザと芸能界

『別冊宝島 ヤクザと芸能界』

著者
鈴木智彦 [著]/伊藤博敏 [著]/常田裕 [著]/ほか [著]
出版社
宝島社
ISBN
9784800297792
発売日
2019/08/29
価格
1,430円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

芸能界のタブーに切り込むヤクザ絡みの本当にあった怖い話

[レビュアー] 吉田豪(書評家)

 吉本芸人と反社会的勢力の騒動をきっかけに制作された、ヤクザ絡みの本当にあった怖い話集。なかでもいちばん怖かったのはこれだ。

 写真週刊誌のカメラマンA氏から「キミ、ボクシング好きやったな? 明日、渡辺二郎に会うけど、一緒にきいへんか?」と誘われたライターが、大阪のレストランに同行したときのこと。関西の人気タレントK氏の女性スキャンダルをこのカメラマンが撮影し、K氏が親交のある渡辺二郎に相談した流れでの会合だったらしいんだが、呑気なライターが「憧れの名王者と対面できることで、心は浮足立ち、その登場をいまかいまかと待ちわびてい」ると、渡辺二郎が登場。

「ブレザー姿に真っ黒なサングラス。両顎が怒りをかみ殺したようにきつく締められている。口元にも険悪な色が滲み出ていた。/『はじめまして』/私は立ち上がって軽く頭を下げた。/そこにいきなり渡辺の右の平手が飛んできた。私の頭が強く打ち放たれた。一瞬何が起きたのかわからなかった。顔を上げると、再び右の平手が襲いかかってくるのが視界をかすめた。/反射的に上体をのけ反らせた。渡辺の右が空を切り(というよりテーブルを挟んでいたため届かなかったのだろう)、その勢いで私の右隣に座るカメラマンA氏の髪の毛をわし掴みにした。/A氏の顔面がテーブルに激しく叩きつけられた。/『二郎ちゃん、やめてぇな!』/K氏が泣き出しそうな声で止めに入った。/『お願いや! 二郎ちゃん』/A氏の顔面を何度かテーブルに叩きつけたのち、渡辺がその手を止めた」

 怖すぎる! ほかにもAVプロダクションによる男優への恐喝が当たり前になっていることとか各方面の怖い話が満載なんだが、「最近になって友近やEXIT兼近のスキャンダルが報じられたのは、騒動時に会社を批判した芸人のスキャンダルを吉本がリークしているから」という、この本には載っていない噂が、いちばん怖い話だったりもするのであった。

新潮社 週刊新潮
2019年9月26日秋風月増大号 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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