ふしぎな鉄道路線 竹内正浩著

レビュー

1
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

ふしぎな鉄道路線

『ふしぎな鉄道路線』

著者
竹内正浩 [著]
出版社
NHK出版
ISBN
9784140885925
発売日
2019/07/10
価格
1,045円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

ふしぎな鉄道路線 竹内正浩著

[レビュアー] 加藤徹(中国文化学者・明治大教授)

 書物で読む歴史は面白い。私たちの身近なものから読みとる歴史は、もっと面白い。

 明治の初め、鉄道の敷設は近代化に必須だった。が、当時の日本は不利だった。まともな地形図はない。蒸気機関車は非力で坂に弱い。国土は山や川が多いのに、橋やトンネルを作る土木技術は未熟。沿岸部は外国の艦砲射撃を受けたらお手上げ。

 各地の鉄道路線の形は、近代日本の苦辛と試行錯誤の跡である。東海道本線は、京都から岐阜までは中山道を走る。明治の前半まで、東京と京都を結ぶ「両京幹線」の建設は、国防上の理由もあり内陸の中山道ルートで進められた。が、工期と工費がかさむことが判明し、途中から東海道に変更したのだ。

 この他、奥羽本線の分岐、横須賀線のトンネルの多さ、中央線の都心延伸、山陽本線の急勾配の難所、北九州に存在した幻の巨大駅、新京成線が風水害に強い理由と鉄道連隊、戦後に新幹線としてよみがえった弾丸列車構想と総力戦、等々、興味深い話題が満載である。「戦争」と「地形」の影響が、今もこれほど大きいとは。 (NHK出版新書、950円)

読売新聞
2019年9月22日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

  • このエントリーをはてなブックマークに追加