糖質や消化・吸収をハックする。セレブジム経営者が教える「太らないコツ」
[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)
『やせて一生キープする──太らないコツ』(吉江一彦 著、自由国民社)の著者が運営している南麻布の「ジャングルジム」は、多くの人気芸能人や著名な経営者が集う「セレブジム」として有名なのだそうです。
そのため、特別な人たちが特別なトレーニングを受けているエリートジムだと思われることも。
しかし著者がもっとも得意なのは、自力でダイエットできない人を痩せさせることだといいます。
運動が嫌い。ジムも苦手。激しいトレーニングにはアレルギー反応。 ストイックな食事制限が続かない…。 30年前からずっと、そんなダイエット難民の人たちばかりを相手にしながら、10キロ以上の減量とサイズダウンに導いてきました。 (「はじめに 10キロ減は難しくない」より)
そんな著者がこれまでに指導してきた人は、のべ10万人。そこで本書では、そんな実績の裏づけがある、誰でも日常生活でできる「太らないコツ」を紹介しているわけです。
きょうは2章「無理なく痩せていく食事のコツ」のなかから、いくつかのポイントを抜き出してみたいと思います。
炭水化物は抜かない
短期間でダイエットをする際、炭水化物を抜くべきだといわれることが少なくありません。
しかし著者によれば、それはとても危険。炭水化物の主成分である糖質は、脳や身体のエネルギー源であり、生命を維持するために欠かせないもの。
そのため極端に抜いてしまうと、集中力が低下したり、疲れやすくなってしまうからです。
また、そんな食生活を続けたあとで炭水化物をとるとリバウンドまっしぐらになってしまうため、痩せた身体をキープすることも困難に。
とくに流行の炭水化物抜きダイエットでは、痩せるために炭水化物を極端に抜き、代わりにプロテイン、動物性タンパク質をとるためにお肉を食べることを推奨しています。
ところが血液は通常、弱アルカリ性。極端に炭水化物を抜いて動物性のものを入れると、血液が酸性に変わってしまうというのです。
血液が酸性に変わると、腸内の悪玉菌がみるみる増殖。その流れが進むと大腸がんを招いてしまうのです。(64ページより)
ダイエットとの因果関係は明らかでないものの、腸内環境のよくない食習慣、生活習慣を送っていると、大腸がんのリスクが高まることは間違いないようです。(63ページより)
水は1日1.5~2リットルをとる
健康的な食生活には水分摂取が不可欠で、具体的には1日1.5~2リットルの水をしっかりとることが大切。運動をしていない人は代謝が悪く、血液がドロっと濃くなりがち。
そうなると体内のさまざまなもののめぐりも滞ってしまい、痩せにくい身体に。
だからこそ、たくさん水分をとって体内のめぐりをよくするべき。そして腸内環境にいい食事をしていくだけで、ゆっくりと体重は落ちていくのだそうです。
とくに、朝起きてすぐにコップ1杯の常温のお水をとることはおすすめです。寝ている間に汗として出ていった水分が補給できますし、腸の動きを活性化することで、お通じがよくなるという効果もあります。
便秘で悩んでいる人が、朝1杯のお水を摂取することで、便秘薬から卒業できたり、むくみがとれて5㎏近くダイエットできたというケースも、数多くあります。
また、食事の前に水を飲むようにすると、食べすぎを防いで食事の満足感を得やすくなります。(68~69ページより)
水分にもいろいろありますが、基本的には水がベスト。種類にこだわる必要はないものの、気になる人には温泉水がおすすめだといいます。
温泉水は美肌づくりに定評があり、ダイエットの味方になるミネラルも豊富。また高血圧や便秘の改善、免疫力アップ、整腸作用もあるため、健康的に痩せたい人にはぴったりだから。
なお、「水分をとりすぎるとむくんでしまう」という説もありますが、それは身体をまったく動かしていないときに起こること。
水分を体外に出すチャンスがないため、むくんでしまうわけです。(68ページより)
迷ったら、日本人の身体に合う和食を選ぶ
健康に痩せるには、食事の回数よりも「内容」を変えることが重要。具体的には、日本人に合う食事をとるようにしてほしいのだと著者は記しています。
ここ数十年で日本人の食生活は大きく変化しましたが、身体はそれに適応しきれていない状態。
日本人と欧米人ではDNAレベルから身体のつくりが違っているため、欧米人が消化できるものでも、日本人にはうまく消化できないことがあるのだそうです。
海外の人々は長い歴史のなかで、脂質や糖分が多い食事に抵抗できる力を身につけていますが、それでも許容量を超えれば病気になってしまいます。
摂取量の幅は民族によって異なるとはいえ、脂質や糖分をとりすぎないほうがいいということは、人間に共通しているということです。
健康や美容という観点で考えると、日本人に一番合っているのは、昔から食べていた和食です。ベースはご飯にお味噌汁、おかずは魚や煮物、梅干しやぬか漬けなどの発酵食品という、昔ながらの和定食がおすすめです。
何を食べるのか迷ったとき、和定食を選べれば間違いありません。(74ページより)
現在、海外でも和食の健康効果が注目されているのはご存知のとおり。
つまり、日本食はバランスがよく、人間の身体にあった食事で構成されているということが認知されているわけです。(73ページより)
食事はまず野菜から食べる
食べものの栄養を効果的に摂取するためには、食べる順序がポイント。著者は、野菜中心の生活「ベジファースト」を勧めています。
「ベジファースト」とは、最初に野菜を食べることです。 野菜を先に食べることで、悪玉菌の活動を活発にする動物性タンパク質や、脂肪になりやすい炭水化物のとりすぎも防げます。
また、血糖値の急激な上昇、脂肪の吸収を抑える働きもしてくれるのです。 (75ページより)
肉類と野菜類とでは、消化・吸収される時間が違い、肉類などの動物性タンパク質は、消化・吸収されるまでに5時間はかかると言われているそう。
いっぽう、野菜が消化・吸収されるのは約1時間。消化器官は、先に入ってきた食べものから消化・吸収を始めます。そのため、消化・吸収に5時間もかかる肉類を先に食べると、野菜はあとまわしにされ、待ちぼうけをくらうことに。
すると、その間にも野菜は体内でどんどん腐敗し、結果的に腸内環境が悪くなってしまうわけです。
だからこそ著者は、食事の際には野菜から食べることを勧めているのです。そうすれば腸内環境がよくなり、痩せやすい身体になるということです。(75ページより)
痩せるのは難しいことではなく、ストイックな運動も、極端な食事法も不要。「できること」を取り入れていけば、どんな人でも無理なく自然に体重とサイズを落とすことができると著者は断言しています。
やせたいという思いを抱えているかたは、参考にしてみてはいかがでしょうか?
Photo: 印南敦史
Source: 自由国民社