『虫の文学誌』奥本大三郎著

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虫の文学誌

『虫の文学誌』

著者
奥本 大三郎 [著]
出版社
小学館
ジャンル
文学/日本文学、評論、随筆、その他
ISBN
9784093887069
発売日
2019/07/12
価格
4,070円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

『虫の文学誌』奥本大三郎著

[レビュアー] 産経新聞社

 フランス文学者の著者が、古今東西の文学の中から人と虫との関わりを探ったエッセー。

 日本では虫を飼い、虫の音を鑑賞する文化があり、いにしえより虫を詠んだ和歌や俳句が数多くつくられた。「日本書紀」に登場するトンボは、めでたい虫として愛され、尊ばれてきた。だが、西洋では「不吉な恐ろしい虫、忌むべき虫として扱われている」と。

 著者は「日本の花鳥風月の文化、芸術というものは、虫や、花を、接写レンズのような目で見るところから起こっているわけだが、西欧世界にはそれがない」と記す。虫の奥深さとともに文化の多様性を知る一冊。(小学館・3700円+税)

産経新聞
2019年9月29日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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