「救えるかもしれない命」のために業火に立ち向かう江戸時代の火消たちの活躍を描く人気シリーズの10作目にして、はじまりの「零」巻である。
のちに出羽新庄藩方角火消(ぼろ鳶組)の頭となる主人公、松永源吾が16歳の新人火消として躍動し、同世代の火消たちと競い繋がりながら、毒を吐く戦慄の炎に挑む。凡庸で地味な火消としか思えない父と、将来を嘱望される若鳶(源吾)の関係を軸に、「命を繋ぐ」物語の原点を描く。
シリーズの愛読者は後の展開につながる「外伝」として、未読の人も初めの一冊として楽しめる。(今村翔吾著、祥伝社文庫・800円+税)
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2019年11月10日 掲載
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