芥川賞作家又吉直樹、初の長編小説。新聞連載時から話題を集めて、今回待ちに待った刊行となった。ベストセラー「火花」、「劇場」に次ぐ第三作。かつての又吉氏本人を匂わせる38歳の物書きが主人公。その周りに漫画家やミュージシャン、芸人といった夢多き連中がつながってくる。長編でありながら、十分すぎるほどに凝縮された密度の濃さが伝わってくる。さらには、文章の読みやすさが傑作の最も重要な要素であることに気づかされる。著者が敬愛してやまない太宰治への思いが、いたるところに感じ取れる。代表作となるかいなや、ぜひ読んでみてください。
-
2019年10月22日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです