12人の花形伝統芸能…中井美穂著

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12人の花形伝統芸能

『12人の花形伝統芸能』

著者
中井 美穂 [著]
出版社
中央公論新社
ジャンル
芸術・生活/芸術総記
ISBN
9784121506689
発売日
2019/10/09
価格
990円(税込)

書籍情報:版元ドットコム

12人の花形伝統芸能…中井美穂著

[レビュアー] 加藤徹(中国文化学者・明治大教授)

 臨場感あふれる本音トークのインタビュー集だ。女性アナウンサーである著者が、歌舞伎、能・狂言、文楽、落語、講談、浪曲の12人の若手実演者と語り合う。著者の眼力の鋭さは、講談師の神田松之丞が「中井さんの本音は、容赦がないですね」と苦笑するほど。同じ歌舞伎役者でも、尾上松也は「天国にいるのか地獄にいるのかわかりませんが、お父ちゃんがしたかったことを、僕がやってあげたいと思っています」、市川染五郎は「父を超えるためにやっている思いがあります」。能楽の若き宗家・宝生和英(かずふさ)は「能は演劇ではないと思っています」「世界中の文化を集めている芸能で、日本古来のものではないんですね」。

 本書は、読売新聞での連載時に載せられなかったエピソードも載せ、パワーアップしている。著者は言う。「舞台が面白いのは、目の前で動く生身の肉体のエネルギーを感じられること」「肉体が放つ熱量、匂いを持っている人が目の前で動くハラハラドキドキ感にかわるものはないと思います」。著者と実演者の丁々発止のやりとりも、ハラハラドキドキ感に満ちている。(中公新書ラクレ、900円)

読売新聞
2019年11月17日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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