『おしゃれは7、8割でいい』
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【聞きたい。】地曳いく子さん 『おしゃれは7、8割でいい』
[文] 加藤聖子
■「完璧目指さない」のすすめ
『服を買うなら、捨てなさい』などのベストセラーがあるスタイリストの地曳いく子さん。本書では30、40代の女性に向け、「自分のファッションの判断基準を持つこと」や、「完璧を目指さない」といったアドバイスをつづった。
執筆のきっかけは、この世代が皆一様に「おしゃれに疲れている」と話すのに衝撃を受けたこと。
「仕事に家事育児、きれいでおしゃれ…と、完璧を目指して悩んでいる人が多い。でも、全部100点なんてあり得ない。もっと頑張りどころを絞らないと」
確かに、ドンピシャ世代の記者もネットで何でも検索し、「今年買うべきスカートは…」「そろそろ一生物を身に着けるべきだ」などと見ては「自分はできていない」と落ち込む感覚があった。
「若い人たちはそういった“べき論”にとらわれ過ぎていることにすら気づいていない。小手先のテクニックよりも、一旦そういったものから心身を解放してリセットする機会が必要です」
また、失敗を過度に恐れる傾向も、かえってファッションや人生を迷わす元凶になっていると指摘する。
「ファッションって感覚的なもの。自分が好き、心地いいと思うものを着ればいいんですけど、若い人は失敗の経験が少ないから、自分に合う、合わないを判断する感覚自体が鈍ってる。自分で考えないから、判断基準もない。そうした感覚を磨くには、疲れたら寝ることと、美しいものを見るのが一番(笑)」
情報の速さも昔とは比べ物にならず、気候も流行も目まぐるしく変わっている昨今。日々の変化に対応するには、アップデートする隙を残しておくことが大切、と説く。
「おしゃれって完成させてしまうと、途端に古くなる。7、8割にしておくのがベストですね」
生き方にもつながる金言がしみる一冊だ。(光文社・1200円+税)
加藤聖子
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【プロフィル】地曳いく子
じびき・いくこ 昭和34年、東京都生まれ。数々のファッション誌で活躍するベテランスタイリスト。『50歳、おしゃれ元年。』(集英社)、『服を買うなら、捨てなさい』(宝島社)など著書多数。