【聞きたい。】ペッペさん 『ミンゴ イタリア人がみんなモテると思うなよ』

インタビュー

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク

【聞きたい。】ペッペさん 『ミンゴ イタリア人がみんなモテると思うなよ』

[文] 本間英士

 ■日本と「恋に落ちた」漫画家


ペッペさん

 日本の「オタク文化」を愛するイタリア人漫画家。初の単行本となる今作で、夢だった漫画家の道を本格的に歩み始めた。日本で人気恋愛番組に出演経験のある男前モデルでもある。

 「来日して1時間でモデルにスカウトされました。でも、僕は漫画が好きだから日本に来たし、シャイだからモデルになるつもりはなかった。日本に来てから、全てが変わりました」

 同作はイタリアから来日したモテない青年、ミンゴが主人公のラブコメだ。日本では「モテ期」が到来するかと思いきや、根は生粋のオタク。現実はそううまくいかず…。来日後すぐにスカウトされたり、オーディションに「ルパン三世」のパーカを着て臨んだりするなど、著者本人の体験も形を変えて織り込まれている。

 子供の頃からアニメが好きで、日本文化に親しみを覚えていた。漫画を読みだしたのは16歳ごろ。『NARUTO』などを一気読みし、「僕も描きたい」と決意した。ベネチアの大学を卒業後の2015年、日本への片道切符を握りしめ来日。「必ず漫画家になる」という決意の表れだった。

 「来日前に日本のことをたくさん調べたので、日本は想像通りだった。というか、思っていたより素晴らしい。恋に落ちたね」

 ただ、想定以上だったのが生活費の高さ。日本語学校に通いながらモデルなどの仕事に励み、生活費をためてから本格的な執筆を開始した。昨秋、「ビッグコミックスピリッツ」(小学館)で今作の連載を始め、12月に1巻を刊行。「ささいなことほど全く主張を曲げない」「イタリア料理しか食べない」「美女が大好き」など、在日イタリア人の生態をコミカルに描き、人気を集める。

 「今は幸せだけど、それ以上に仕事を頑張らないと。チャンスは二度と来ない気持ちでいるし、僕も描きながら成長しています」

 「ローマは一日にして成らず」という諺(ことわざ)がある。恋愛も漫画も、何事も初めから全てうまくいく人なんていない。異国で奮闘する新人漫画家の成長物語を見届けたい。(小学館・591円+税)

 本間英士

   ◇

【プロフィル】ペッペ

 Peppe 1992年、イタリア・フォッサチェージア出身。

産経新聞
2020年1月5日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク