前例のない時代に必要なのは教養! 家庭教育でどう子どもに身につけさせる?

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小学生なら知っておきたい教養366

『小学生なら知っておきたい教養366』

著者
齋藤孝 [著]
出版社
小学館
ジャンル
社会科学/教育
ISBN
9784092272101
発売日
2019/11/19
価格
1,980円(税込)

書籍情報:openBD

前例のない時代に必要なのは教養! 家庭教育でどう子どもに 身につけさせる?

[レビュアー] 齋藤孝(明治大学文学部教授)


齋藤 孝/さいとう・たかし。1960年、静岡県生まれ。東京大学法学部卒業後、同大学大学院教育学研究科博士課程を経て、明治大学文学部教授。主な著書に『声に出して読みたい日本語』(草思社)、『強くしなやかなこころを育てる! こども孫子の兵法』(日本図書センター)『「言葉にできる人」の話し方』(小学館新書)ほか多数。

自分で考える力が必要な時代

皆さんが子どもだったころ、「なりたい職業」として思い描いていたのはどんな仕事だったでしょう?

約50年前の調査結果を見ると、男子ならプロ野球選手やパイロット、女子ではスチュワーデス(現キャビンアテンダント)や看護婦(現看護師)などが挙がっています。

これらの職業は、どんな学校に行って、どんな訓練を積んで、どんな資格を取ればなれる、というのがはっきりしています。

つまり、親が子どもに「こういう学校に行くといいよ」「こういう勉強をするといいよ」、あるいは「こういう仕事みたいだよ」「こういうところが大変らしいね」とアドバイスができたのです。

ところが現在は、状況が変わっています。「なりたい職業」の上位には、男子なら「ゲーム制作」「ユーチューバー」、女子なら「パティシエール」などが入っています。これらの仕事について、(同業者は別として)親はどのくらい子どもにアドバイスができるでしょうか。これらの仕事の内容をどのくらい具体的に伝えられるでしょうか。

時代の変化とともに、職業の形も変わっていきます。50年前にあって今はない職業もたくさんあります。その分、新しい職業もどんどん増えています。

これからの子どもたちは、私たち大人が見たことも聞いたこともやったこともない職業に就いたり、あるいは自分で職業を新たに作ったりする時代を生きることになります。

前例のない時代を生きる上で大切なのは、自分の頭で考える力。知識や情報を貯めるだけではなく、それらをどう仕事や人生において使いこなすか。自分の置かれた状況を把握し、求められていることを理解し、現状を分析して考察し、実行する。子どもたちには、それができる力をつけてあげたいのです。

小学校では、2020年度から新しい学習指導要領がスタートします。そのスローガンは、「生きる力 学びの、その先へ」です。これは、私が上記で述べたことと同じ。自分の頭で考える力のことです。

そういう力をつけるために大事なのが「教養」です。「勉強」は新しいことを知ることですが、「知る」だけでは生きる力にとっては不十分です。知ったことを「使いこなせること」。これこそが教養であり、考える力なのです。

「あの人と話したい」と思われる教養の効果

そのことを踏まえて、私は『1日1ページで身につく! 小学生なら知っておきたい教養366』(以下、『教養366』)という本を上梓しました。2020年にぜひとも親子で読んでいただきたいと思っています。

小学生で「弘法にも筆の誤り」ということわざを知っているのはすばらしいことですが、知っているだけではなく、使いこなせなくては宝の持ち腐れなのです。

いつもテストでよい点数をとる子が、悪い点数をとってしまったとします。そういうときに「弘法にも筆の誤りっていうしさ、そういうこともあるよ。次がんばろうよ!」と言うことができたら、「ことわざによって友だちを励ますことができた」という点で、教養があるということになります。

「ことわざを知っている」ことが大事なのではなくて、「ことわざによって友だちを励ます」ことが、考える力であり、ひいては生きる力になるのです。

教養があると気の効いた会話ができますし、話のイメージをふくらませて広げることができるのです。気の効いた会話ができる人は、どこにいっても重宝されますし、「またあの人と話したい」と思われるようになります。そういう大人になるためにも、小学生のうちから楽しく教養を身につけておくとよいでしょう。

『教養366』を親子の会話に活かす

この本では、小学生の子どもたちが楽しく学べるように、クイズからはじまり、ポイントを3つに絞り、最後におまけ情報を入れて、段階的に物事を知るようなページづくりをしています。読んだあとで誰かにクイズを出すことで、「知ったことを使いこなす練習」になります。

とはいえ、読書習慣のない子にとっては、じっと座って本をひらくこと自体のハードルが高いかもしれません。

もし子どもが、本を読むのが苦手だったら、親が先に実践してみてはいかがでしょう。親が『教養366』の中で読みたいと思ったところをパッと開いて、「へえ~」「そうだったんだ」と読んでいたら、きっと子どもも「何? どうしたの?」と興味を持ってきます。楽しいものだとわかると、子どもはチャレンジしたくなるものです。

それに、親と子どもが「これ知ってた?」「こんなことあったんだ!」「これは知らなかったなあ」と知る喜びを共有できたら、親子で「ワクワク仲間」になることができます。一人で読むよりも一緒に読んだ方が、印象に残って記憶として定着しやすいのです。

読んだ後は、何かの折に『教養366』に載っていたことを話題にしてみてください。たとえば、家族で日光に旅行したら、「日光東照宮にまつられているのはだれ?」とクイズを出してみましょう。宮崎駿監督の映画を見たら、「ジブリってどんな意味だっけ?」と思い出してみましょう。教養は、机の前に座って学ぶことだけではありません。日々の生活の中で鍛えていく力でもあるのです。

『教養366』は小学生向けに作った本ですが、読んでくださった大人の方から、「自分が夢中になった」「難しいことがやさしく書かれていてよくわかった」という声が上がっています。小学生にとっては「知っておきたい教養」、大人にとっては「今さら聞けない教養」ということで、幅広い年代の方に親しんでもらいたいと思っています。

小学館
2020年1月23日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

小学館

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