〈戦前と戦後の昭和時代と並走した〉流行作家、獅子文六(1893~1969年)。NHK朝ドラにもなった『娘と私』や、『自由学校』『大番』など新聞、週刊誌連載で社会現象となり、映画化でヒットした作品も多い。そして近年、作品の復刊やドラマ化などが相次ぎ再ブームにも。
個人主義で皮肉屋、無愛想だが、ユーモア精神と鋭い人間観察力の持ち主だった文六。本書は演劇人でもあったその生涯をたどり、時代の空気を写した作品をめぐるエピソードを紹介する。そこには<生々しい昭和>が立ち上り、いつまでも読んでいたくなった。(ちくま文庫・780円+税)
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2020年1月12日 掲載
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