「自分は意志が弱いから…」はNG。モチベーションを上げる計画の立て方

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「自分は意志が弱いから…」はNG。モチベーションを上げる計画の立て方

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

自分を変える89の方法』(スティーヴ・チャンドラー著、桜田直美 訳、ディスカヴァー・トゥエンティワン)の著者は、企業や大学など多くの顧客を持ち、ビジネスコーチやセミナー講師を務める作家、講演家、経営コンサルタント。

本書は(日本では)2013年に刊行された同名書籍を再編集したもので、もともと内向的だったという著者が、「人前で話すことを仕事にする」という夢を実現した体験的方法に基づく考え方が書かれています。

本書は、私の人生を実験台にして書いた本だ。実際に効果のあったものだけをまとめている。セミナーでも多くの方に教え、実践していただいた。 1996年に初版を出版して以来、この本は私の想像をはるかに超える成功を収めることができた。

本書は、20の言語に翻訳され、世界25カ国で出版されている。アメリカでも刊行から23年を超えて、今でも新たな読者が本書を手に取ってくださっている。(「はじめに」より)

そこまで支持されているのは、ここに書かれている方法が、国や時代に関係なく、誰にとっても役立つ原則だから。著者はそう考えているのだといいます。

きょうはそのなかから、ビジネスパーソンに役立ちそうな2つのエピソードをピックアップしてみることにしましょう。

忙しいときほど計画に時間をかける

落ち込んでいるとき、怒っている時、動揺しているときなどは、なかなか新しいことを始めようという気分にはなれないもの。

しかし成功哲学の提唱者でもあるアメリカの著述家、ナポレオン・ヒルは、「そんなときこそある人生のルールを学ぶのに最適だ」と主張しているのだそうです。

悲しみや落ちこみといったネガティブな感情は、明確に計画された仕事で、別の感情に変化させることができる。

これは最高の人生のルールである。 (62ページより)

ところで著者はここで、社員研修を請け負う会社でインストラクターをしていたころのことを振り返っています。

その会社の専門は時間管理であり、つまりビジネスパーソンを対象に、仕事の時間を最大限に有効活用する方法を教えていたわけです。

ちなみに、著者の基本的なメッセージは次のとおり。

計画に1時間かければ、実施時間を3時間節約できる。(63ページより)

片づけなければならない問題が山積しているだけに、多くの人は、計画のために1時間をかける余裕などないと考えることでしょう。

しかし、そもそも問題の大半は、計画を立てなかったことが原因で生まれているのだと著者は指摘しています。いいかえれば大半の人は、計画の価値を理解していないわけです。

しかし実際のところ、計画のための1時間はもっとも生産的な時間。なぜなら明確な計画は、目的意識をはっきりさせ、エネルギーを引き出してくれるものだから。

逆に考えれば、計画を立てない人は、なにも考えずにふらりと職場に現れ、危機が起こるたびにただ反応しているにすぎないということ。

すなわち危機のほとんどは、事前に毛角を立てないことが原因で起こっているわけです。

著者の友人も、もとはごく普通のサラリーマン人生を送っていたものの、仕事の計画を立てるようになってから大きく飛躍したのだそうです。

現在は毎週末、12時間かけてパソコンで翌週の綿密な計画を立てており、「これを始めてから人生が変わったよ」と話しているのだといいます。

計画のおかげで仕事の能率は3倍になった。 そして人生をコントロールしていると実感できるようになった。

同じ仕事でも、自分の仕事だと感じる。 同じ1週間でも、自分の1週間だと感じる。それに人生も、これは自分の人生だと感じるようになった。 (64ページより)

明確な目的意識を持って仕事に臨んでいるとき、気分が落ち込む余地はないはず。

明確な仕事の計画を立てることを習慣にすれば、おのずとモチベーションが高まり、心配事も減るというわけです。(62ページより)

「意志の力」は、鍛えられる

著者はこれまで多くの人から、「自分は意志の力がない」という訴えを聞いてきたそうです。

もしかしたら、同じようなことを口にした経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか?

しかし著者は、こうした考え方に反論しています。

意志の力は誰にでもあるものだと。それどころか、自分に意志の力がないと思うのは、自分自身の成長を妨害することでもあるそう

目の前に重たいバーベルが用意され、持ち上げるように言われた場面を想像してほしい。そんなとき、あなたはなんと言って断るだろうか。

きっと、「私には筋力がない」ではなく、「私にはそれを持ち上げるだけの筋力がない」と言うだろう。

それがより真実に近い答えだ。

たしかに、今はそのバーベルを持ち上げるだけの力はないが、鍛えれば持ち上げられるようになる。意志の力もこれと同じだ。(99~100ページより)

意志の力を鍛える第一歩は、自分に意志の力があるという事実を認めること

腕に筋肉があるのと同じで、いまは筋力が強くないかもしれないけれど、それでも筋肉はたしかにあるということです。

そして第二歩が、意志の力も、筋力と同じように自分で鍛えられると言う事実を知ること。意志の力は天から降ってくるものではなく、自分で鍛えなければならないのです。

自分には意志の力があることを認めよう。自分に嘘をついてはいけない。意志の力はいつでもあなたの中にいる。

それをどう鍛え、どう使うかはあなた次第だ。(100ページより)

著者のこのことばには、心にとどめておく価値が備わっているのではないでしょうか?(99ページより)

たとえばこのように、書かれていることはシンプルかつストレート。

無駄を排除した簡潔な表現に徹しているため、すっと入り込めることでしょう。自分をよりよく変えたいという思いがあるのなら、参考にしてみる価値はありそうです。

Photo: 印南敦史

Source: ディスカヴァー・トゥエンティワン

メディアジーン lifehacker
2020年1月21日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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