<東北の本棚>生と死を見つめる絵本

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墓の中にはなにもない

『墓の中にはなにもない』

著者
サトウヒロシ [著]
出版社
トゥーヴァージンズ
ISBN
9784908406423
発売日
2019/11/01
価格
1,540円(税込)

<東北の本棚>生と死を見つめる絵本

[レビュアー] 河北新報

 「生きるってどういうこと?」「死ぬとは?」-。絵本作家で万年筆画家の著者が、「死」から「生きること」を見つめた命の絵本。大人にも子どもにも、生きる意味を問い掛ける。親子で読んで、語り合うのもいい。万年筆と専用インクで描かれた絵は味わい深く、後々まで心に残る。
 物語は、ある男が人生に絶望して、自ら掘った墓に入るところから始まる。男は死と引き換えに、身も心も解き放たれて自由になったが、男の姿は誰にも見えず、誰とも関われない。
 ある日、男の姿が見える一人の少年に出会う。その人生を見守るうちに、風の香りや人のぬくもり、悲しみ、喜びを感じていたかつての日々を思い出していく。
 自分の墓に戻ってきた男は「死ぬのはやめだ」「俺は生きる」と叫ぶ。でも、答えは返ってこない。
 巻末に、使用した万年筆とインク、原画に使ったペーパーの一覧を掲載した。
 著者は福島市出身。ウェブ制作会社などを経て2015年に独立した。万年筆を用いた新しい画法を追求しており、ワークショップなどを開く。著書に「明日死ぬかもしれないから今お伝えします」(KADOKAWA)など。
 トゥーヴァージンズ03(5212)7442=1540円。

河北新報
2020年1月26日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

河北新報社

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