大学改革の迷走…佐藤郁哉著

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大学改革の迷走

『大学改革の迷走』

著者
佐藤 郁哉 [著]
出版社
筑摩書房
ジャンル
社会科学/教育
ISBN
9784480072634
発売日
2019/11/05
価格
1,320円(税込)

書籍情報:openBD

大学改革の迷走…佐藤郁哉著

[レビュアー] 苅部直(政治学者・東京大教授)

 大学は「改革」のさなかにある。言葉だけを耳にすれば、前向きな空気が漂ってきそうである。しかしそれが、現在まで約三十年間、言い続けられてきたとすればどうか。

 もちろん日本ではその間、国の行政機構も、官僚と政治家による政策決定のしくみも、司法制度も、大きな改革を経験した。だが大学における「改革」はその中でも特異である。毎年のように新たな改革プランが文部科学省から提示され、それに追いつこうと努力を重ねる大学には、達成感どころか混乱と疲労が漂っている。

 なぜそうなってしまったのか。著者は数多くの答申や審議会の資料を集め、綿密に検討して、行政と大学の双方を含めた全体に広がる「集団的無責任体制」を明らかにする。その結果、奇怪なカタカナ語や図解があふれる文書が産みだされ、外見だけの「改革」の作業が更新され続けるのである。

 最後に述べられる、政策の事後検証のしくみに関する提言も重要である。大学、さらには教育政策のあり方について関心をもつ方々に、必読の一冊。(ちくま新書、1200円)

読売新聞
2020年1月29日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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