【児童書】『日本を変えた 地味スゴ歴史人物伝』伊藤純郎監修
[レビュアー] 横山由紀子
■縁の下の力持ちに光
誰もが知っている有名人だけが、歴史を作ってきたわけではない。著名な偉人の陰で、実は大きな役割を果たした人々がいる。本書は、日本の歴史を切り開いた縁の下の力持ちに光を当てた“地味にスゴい”人物伝だ。
飛鳥時代の蘇我馬子は、古代史に燦然(さんぜん)と輝く聖徳太子と推古天皇の政治をがっちりサポートし、日本に仏教を広めた立役者だ。日本最古の歴史書である古事記は、名コンビによって編纂(へんさん)された。記憶力抜群の稗田阿礼(ひえだのあれ)がそらんじていた伝説や伝承を、太安万侶(おおのやすまろ)が記録したのだ。
室町時代の武将、太田道灌(おおた・どうかん)が整備した江戸城は、後に改修され、徳川幕府の拠点となった。ほかにも、江戸時代にシャム(現在のタイ)の日本人町のリーダーだった山田長政、医学書の翻訳に取り組んだ前野良沢、自由平等の思想を伝えた中江兆民らが登場。
地味ながら歴史に残る活躍をした人物のエピソードに触れることで、歴史を立体的に学ぶことができる。(高橋書店・1000円+税)
横山由紀子