【今週の労務書】他者と働く「わかりあえなさ」から始める組織論 宇田川元一著

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【今週の労務書】他者と働く「わかりあえなさ」から始める組織論 宇田川元一著

[レビュアー] 労働新聞社

対話による組織変革を

 企業の抱える課題は2種類に分けられる。既存の方法で解決可能な「技術的問題」と解決不可能な「適応課題」だ。そして、今日の企業課題の多くは適応課題に当たる。著者は適応課題の解き方として「対話」を提言している。組織は人と人との関係性で成り立っており、関係性が変化すれば組織も変わる。そのために新たな関係性の構築につながる対話が必要になるという。

 関係性を硬直させる要因はそれぞれの持つ専門性や職業倫理、組織文化などの「ナラティブ」にある。このナラティブを超える実践方法が本書には詰め込まれている。組織論の多くは形態やマネジメント手法をテーマとしているが、人と人との関係性に着目した点が本書の特徴だろう。既存の組織論で解けない適応課題に悩む人に勧めたい。

労働新聞
令和2年2月10日第3244号掲載 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

労働新聞社

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