『清明 隠蔽捜査8』今野敏著
[レビュアー] 産経新聞社
キャリアながら捜査の前線に立つ異色の警察官僚、竜崎伸也を主人公とした人気シリーズの最新作。警視庁大森署長から神奈川県警刑事部長へ栄転した竜崎はいきなり難題に直面する。東京・神奈川の境で殺人事件が発生、日頃からライバル心が強い両警察本部が角突き合わせた上に、中国や公安警察の「壁」が立ちはだかる…。
このシリーズに人気があるのは竜崎の魅力にあるのだろう。キャリア官僚は竜崎のように、国家や国民のために命をも投げ出す覚悟が必要なのだが、現実には保身や利権に走る官僚ばかり。「国のために働きなさい」のセリフが心地よい。(新潮社・1600円+税)