『魂の痕(きずあと)』梁石日著

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魂の痕(きずあと)

『魂の痕(きずあと)』

著者
梁, 石日, 1936-
出版社
河出書房新社
ISBN
9784309028538
価格
1,980円(税込)

書籍情報:openBD

『魂の痕(きずあと)』梁石日著

[レビュアー] 産経新聞社

 日本統治時代の朝鮮・済州島。夢見る少女の春玉は、10歳にも満たない年下の夫と結婚させられるが、婚家を逃げ出して大阪へ向かう。ところが、女子工員として働く紡績工場の朝鮮人所長に乱暴され、妊娠。幼子を抱えて飲食店に勤める春玉の前に、金俊平という巨漢の客が現れる。無理やり妻にさせられた春玉は夫の暴力と放蕩(ほうとう)に悩まされながらも俊平の姿に故郷への愛憎を重ねていく…。

 著者の実の母親をモデルに、日本統治時代の在日コリアンの生活がリアルに描かれる。ビートたけし主演で映画にもなった名作「血と骨」と対をなす物語。(河出書房新社・1800円+税)

産経新聞
2020年3月1日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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