コロナウィルスで在宅勤務でも仕事はできる! 価値なきムダを取り除く働き方

インタビュー

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やめるだけで成果が上がる仕事のムダとり図鑑

『やめるだけで成果が上がる仕事のムダとり図鑑』

著者
岡田 充弘 [著]
出版社
かんき出版
ジャンル
社会科学/社会科学総記
ISBN
9784761274788
発売日
2020/02/19
価格
1,650円(税込)

書籍情報:openBD

コロナウィルスで在宅勤務でも仕事はできる! 価値なきムダを取り除く働き方

[文] 山岸美夕紀


著者の岡田充弘氏

誰も発言せず何も決まらない会議、「PCでできるはずなのに」と思いながら続けている手書き作業、何度も同じことを説明させられるホウレンソウ……仕事にはびこる“ムダ”は数え上げればきりがありません。最近では新型コロナウィルスの影響で、時短勤務や在宅ワークに切り替える企業も増えました。勤務時間は短縮されたけれど、求められる結果は同じ。そんなとき、どのように仕事上のムダをなくしていけばいいのか? 『やめるだけで成果が上がる 仕事のムダとり図鑑』著者であり、外資系コンサルティング会社を渡り歩き、現在は関西を代表する謎解きイベント会社を経営する岡田充弘先生にお話を伺いました。

 ***

――新作は仕事上での幅広い“ムダ”を排除するノウハウを詰め込んだ一冊ですが、岡田先生自身の、大手企業の社員経験や、コンサルティング会社で企業再生や組織変革など多数の変革プロジェクトに携わってこられた経験から生まれたものなのでしょうか?

そうですね、これまで見てきた大企業のおかげで、たくさんの“ムダ”のストックが自然に溜まっていました(笑)。大企業は、不条理とか板挟みといったものの縮図でしたから。また、今年から私の経営する会社のひとつである映像関連機器メーカー「カナリア株式会社」をコンサルティング会社に変更したというタイミングもあります。
近年の人不足で、各企業が、社員の処遇を上げたり、オフィスをきれいにしたり、昼食を無料にするなど福利厚生の充実に取り組んでいますよね。でも、その前にまず大切なことは、“日常業務を気持ちよく回す”ことではないかなと思うんです。離職の理由として、そこがもっとも大きいわけですから。

――確かにそうですね。どんなに福利厚生が手厚くても、人間関係がギスギスしていたり、仕事のやり方が非効率的な職場には魅力を感じません。

だいたい、“非効率な環境”と“嫌な上司”というのはセットになっているんですね。「ミスが起こりやすい→叱られる→でも言いたいことはいっぱいある……」と板挟みになっている人がとても多くて。
やっぱり社内外でトラブルが起きると、人との間に多かれ少なかれ軋轢が生まれるじゃないですか。“ムダとり”の本質はそこなんです。時間を生み出すというのももちろんなのですが、最終的にはみんなが気持ちよく働けるようになるためのワザなんですね。

――なるほど、単なる“時短術”ではない奥深さがありますね。

情報もモノもどんどん増えて複雑化していく中で、その分、ミスやムダ、漏れなどがどうしても起こりやすくなっていますよね。増やすのは簡単だけれど、減らすのはなかなか難しいので、“ムダとり”の意識が世の中に広まればいいなと思っています。
上司だって、部下に対して気になるところはたくさんあっても、叱りたいと思っている人は少ないはず。ムダを徹底的にそぎ落とせば、そもそも小さなミスが起こり得ない状態になりますし、何かが起きたときにすぐ異変に気付くので大ごとになる前に手を打つことができます。結果、怒る人も怒られる人も減るわけです。


岡田充弘氏

――本書では、人間関係における“ムダ”や会議の“ムダ”、時間管理における“ムダ”、パソコンなどのシステム上の“ムダ”まで幅広く取り上げています。いまは新型コロナウィルスの影響で、リモートワークも増えています。こんなときだからこそ、参考になりそうな章や項目はありますか?

そうですね、パソコン設定や情報検索などIT面についての項目は、面倒臭くてもやればやるほど大きな結果が出ますし、どんな立場の人でもできるので、少しずつでも実践していくことをお勧めします。前著『超速パソコン仕事術』にたくさんショートカットキーなど便利な項目を掲載しているのでチェックしてみてください。
また、一番のボトルネックは、意外と“コミュニケーション”とか“対人関係”だったりしますが、「俺、聞いてないぞ」「あれはそういう意味じゃなかったのに」「それはもっと早く知らせてよ」といったことは、ほとんどが技術や段取りで防げることです。在宅でしたら、社内のチャットで、コミュニケーションの“スキマ”を埋めることができます。
チャットツールとは、別名「インスタントメッセンジャー」とも呼ばれるアプリケーションの総称です。代表的なチャットツールには、SlackやChatwork、Skype、Facebook Messenger、LINE WORKSなどがあります。どのツールが圧倒的に優れているというわけではありませんので、職場の環境やコミュニケーションの目的に合わせてどれか1つを選べばいいでしょう。
使うときのポイントとして、あとから検索するような内容が多いコミュニケーションはチャットよりメールを。チャットはSkypeを例に挙げると、今の自分の状況に合わせて「オンライン」「離席中」「取り込み中」のいずれかを選択することで、ほかの人に状況を知らせることができます。自分の状況をほかの人に知ってもらうことで、おたがい相手に配慮したコミュニケーションをとることが可能になり、生産性の向上や信頼関係の構築に一役買ってくれることでしょう。

――在宅勤務で気をつけることはありますか?

リモートの場合、資料が手元にないと困るケースが多いかと思います。そういった状況を防ぐには、必要な資料は入手後速やかにデジタル化する習慣を普段からつけることです。書類などを入手したあとに時間を空けてしまうと、瞬く間に机上に紙が溜まってしまうからです。コロナウィルスの収束状況がわからないいま、必要な書類をスキャンしておくのもいいでしょう。
デジタル化は、通常スキャナを使います。もし出先でスキャナがなければ、スマホで撮影して自分宛にメールで送信すればOKです。
また、Googleドライブのようなクラウド型のストレージサービスで同期させる方法もあります。スキャンしたファイルは、OCR機能(光学文字認識機能)でテキスト検索が可能な状態に変換しておくと便利です。OCR機能は、複合機やスキャンアプリにも搭載されていますし、AdobeAcrobatに標準機能として備わっています。専用ソフトも多数販売されています。
急遽リモートワークが推奨されましたが、日本のビジネスパーソンは、じつに多くの時間を会議に費やしています。その種類も、情報共有を目的としたものから、議論を目的としたものまで、さまざまです。とくに大企業では、定例会議や部門別会議、役職別会議など、数多くの会議を頻繁に開いていますが、私からすればいずれも減らせるものばかり。
これまで数多くの会社を見てきましたが、生産性の高い会議を行っている会社はそう多くありません。このような“昔ながら”の会議は、今すぐにでもやめるべきです。私は、企業活動のなかで会議ほど高コストなものはないと思っています。
というのも参加者の年収を時給換算して、会議時間と人数を掛け合わせると、驚くような金額になるからです。人件費からではなく、チームの目標売上から逆算して時給換算すると、さらに驚くような金額になります。リモートは会議や働き方を見直すいいチャンスとして
捉えてみてはいかがでしょうか。

――本書を作るうえで、大変だったことや苦労したことはありますか?

苦労したというか、どこまでディープに書くかは考えましたね。“ムダ“のストックは大量にありますので、そこからなるべく多くの方が使える70項目に絞り込みました。
また、当社はすでにムダが取り除かれているのでずっとハッピーに過ごしていたのですが、過去の壮大なムダを思い出しながら書くのが辛かったですね。負の感情が蘇って……(苦笑)。コンサルティングで携わる企業では、辛そうにされている社員のみなさんの痛みを早く取り除いてあげたいという思いで取り組んでいます。

――まさにそういった、人間関係やシステムのムダに悩んでいるビジネスパーソンに読んでいただきたいですね。

そうですね。特別な経営者やスーパーマンというよりは、日常オフィスで働いているリーダー、もしくはリーダー手前くらいの人が読んでくれると、社内全体が変わるのではないかなと思います。
また、若手社員にもぜひ読んでほしい。というのも、会社って仕事術は教えてくれないですよね。決まったシステムに従ってやってください、と言うくらいで、メールの書き方さえ教えてくれるところは少ない。資料やパワーポイントの作り方なんかも、みんな、「これはダメだ」と突き返されて覚えていくようなところがあります。そういった役に立つ基本の仕事術も盛り込んでいますので。

――あとがきでは、システマチックに“すべてをムダ”と捉えるのではなく、“価値なきムダ”を取り除くことによって新たに生まれた時間やお金を、「自分づくり」や「信頼づくり」といった“価値あるムダ”に使ってほしいと書かれています。

はい、昔はちょっとストイックに削ぎすぎてしまって色々とハレーションが起きたこともあったので、適度にムダを残すことを覚えました。そのほうが、長い目で見たときにムダとりにつながっていたりするんですね。
年を重ねて覚えたのは、「有事を利用する」ことと、真正面からじゃなくて「間接的にやる」こと、そして、それを長期的にくりかえすこと。
有事を利用するというのは、何かトラブルが起こったときにそれにかこつけて「ちょっとこれは整理しましょうか」「変えましょうか」という流れで変えていくということですね。そういう意味で、トラブルは片付け・整理を進める、ルールを変えるチャンスなんです。引っ越しなんかもいいきっかけですね。いらないものをさりげなく捨てられる。
私も昔は、社員が望ましくない行動を取ったときにすぐに対応していたのですが、それは辞めました。ミスの直後に直接指摘をすると余分な怒りを含んでしまいがちですし、全員を対象に注意喚起をすると「あれ俺のことだ」と悟られて、結局、嫌味みたいになってしまうでしょう?
ですから、問題発生と解決に取りかかるタイミングをちょっとズラす。もしくは、間接的に他の人から言ってもらう。それでも2割くらいしか改善されないのですが、それを繰り返して長期的に改善していきます。こうやって地道に取り組んでいくことで、どんどん離職率も減っていきます。

――効率的な仕事術を覚えたいビジネスパーソン、職場の雰囲気やシステムを改善して離職率を下げたい企業、どちらの側面からも活用できる内容ですね。最後に、岡田先生のお薦めの本を教えてください。

エンタテインメントの企画会社を経営していることもあり、任天堂とピクサーという2つの企業を注目していて、それに関しての本をよく読んでいます。最近のものでいうと、『ピクサー流創造するちから――小さな可能性から、大きな価値を生み出す方法』(ダイヤモンド社)が面白かったですね。
ピクサーの社長であるエド・キャットムルによる本で、創造的な組織を作るための仕掛けや雰囲気、スティーブ・ジョブズとの関係性など、ピクサーについて“中の人”が書いたものとしては、これがもっとも正確に描写されているのではないかなと感じました。
アップルのような、一人のカリスマが引っ張っていく企業もいいのですが、個々に働いている人たちが創造性を発揮して全体的にクリエイティブになっていく組織ってとても理想的です。憧れるというか、その自由さとアウトプット、成果がうまくつながっている感があって、参考にもなりますね。

――夢のある一冊、私も読んでみます。本日はありがとうございました。

【著者プロフィール】
岡田充弘(おかだみつひろ)
クロネコキューブ(株)代表取締役。カナリア(株)代表取締役。兵庫県出身。日本電信電話(現・NTT)、大手会計系コンサルティング会社のプライスウォーターハウスクーパース、大手組織・人事戦略コンサルティング会社のマーサージャパンなどで企業再生や組織変革の実務を経験したのち、映像関連機器メーカーの甲南エレクトロニクス(株)にマネジメントディレクターとして参画。事業再編、ブランド構築、プロセス改革、ワークスタイル改革、オフィス改革など、短期間に多くの改革を実行し、創業以来の最高益を達成。商号をカナリア(株)に変更すると同時に、同社の社長に就任し、無借金化を達成。その後、謎解きイベントの企画会社クロネコキューブ㈱を設立し、代表取締役に就任。設立からわずか5年で、西日本を代表する謎解きイベント会社に成長させる。社長業のかたわら、多くの企業や団体でアドバイザーを務め、起業支援や若手人材の育成にも精力的に取り組んでいる。趣味はトライアスロン。固定席を持たず走りながら働く独自のラン&ワークスタイルが注目を集めている。著書に7万部を超えるベストセラーになった『仕事が速い人ほどマウスを使わない!超速パソコン仕事術』(小社)など多数。

かんき出版
2020年3月9日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

かんき出版

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