中医学を取り入れた「猫の手づくり健康食」を学ぼう! スプーン1杯からはじめる 猫の手づくり健康食

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スプーン1杯からはじめる 猫の手づくり健康食

『スプーン1杯からはじめる 猫の手づくり健康食』

著者
浴本涼子 [著]
出版社
山と渓谷社
ISBN
9784635590488
発売日
2020/01/30
価格
1,540円(税込)

書籍情報:openBD

中医学を取り入れた「猫の手づくり健康食」を学ぼう! スプーン1杯からはじめる 猫の手づくり健康食

[レビュアー] 澤田真一(ノンフィクション作家)

犬と猫は、当然ながら全く異なる動物である。
生活習慣もそうだが、食べるものも犬と猫では違う。だからこそ、犬の食べているものをそのまま猫に与えよう……とはいかない。では、具体的に「猫の好きなもの」は何か?
この記事では獣医師の浴本涼子氏の著書『スプーン1杯からはじめる 猫の手づくり健康食(山と溪谷社刊)』から、「猫が喜ぶ食事」を考察していこう。

猫は肉食動物

「猫は犬より野生に近い」という。
人間にとって、犬は先史時代から飼い慣らしてきた動物である。今でも狩猟犬というものがいるが、石斧を片手にマンモスを追い回していた頃から犬は人と共に生きてきた。それに比較すれば、猫は「新しいペット」だそうだ。

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犬と猫は人間に近しい動物として同じように語られることもよくありますが、実はまったく違う生きものです。犬は、人間が狩猟生活をしていたころからのパートナーで、人との暮らしも約2万年以上も前からと、かなりのベテラン。猫はそれよりもずっと遅くて、約7000年前といわれています。(『スプーン1杯からはじめる 猫の手づくり健康食』より引用)
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人間が農耕というものを始めなければ、猫をペットにする必要はなかったはずだ。穀物を人為的に生産するということは、その穀物をどこかに貯蔵しなければならないということでもある。その場合、最も怖いのはネズミ。弥生時代の高床式倉庫はコメをネズミに食われないための建築物だが、猫は穀物を守る警備員として人間に「雇用」されたというわけだ。

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そんな猫の遺伝子は、一説には祖先のヤマネコ時代とほとんど変わっていないそうです。からだも変わらず肉食向きで、腸は短く、穀物の利用はあまりできません。(『スプーン1杯からはじめる 猫の手づくり健康食』より引用)
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これは即ち、猫は多くの炭水化物を必要としないという意味でもある。
猫は必須アミノ酸のタウリンやアルギニンを自力で作ることができない。ということは、タウリンやアルギニンを多く含む鶏、豚のレバー、イワシ、鶏ササミなどを与えればいい。猫はたんぱく質から糖質を作ることができる。猫はやはり、肉食動物なのだ。


猫のからだをつくるのはたんぱく質

案外気軽な「猫の手づくり食」

その上で筆者の浴本氏は「猫のための手づくり健康食」を提唱する。

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人間も毎日コンビニ弁当や出来合いのものが続くより、手づくりしたごはんのほうが健康的ですよね? 外食もおいしいけれど、飽きないで食べ続けられるのは家庭のごはんではないでしょうか。猫もそれと同じ。
(中略)
手づくりごはんをはじめると水分を多く摂るようになるので、まずは代謝がよくなります。(『スプーン1杯からはじめる 猫の手づくり健康食』より引用)
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猫の健康を考えたら、やはり手づくりの食事は有効らしい。では、明日から作ってみよう……と思っても、そこには壁がある。
そもそも「猫の手づくりごはん」なんて、人間の食事よりも作るのが大変なのではないか?
そこまで労力をかけた食事を、我が愛猫が食べてくれなかったらどうするのか?

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性格にもよりますが、猫は慎重派。飼い主がどんなにおいしいごはんをつくっても、すぐに手づくり食に飛びつくことはないと思っていたほうがいいでしょう。
(中略)
それには最初から100%を手づくり食にする必要はありません。たとえば、いつものカリカリに手づくりスープをかけてみる、おやつ代わりにスプーン1杯をなめさせてみる、週に1回だけ手づくりにするなど、できることはいろいろあります。(『スプーン1杯からはじめる 猫の手づくり健康食』より引用)
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要は、飼い主を多忙の渦に沈めるほどのことはしなくていいということだ。このような心構えなら、無理せず楽しい料理ができるだろう。

中医学を取り入れたレシピ

この本のタイトルに「スプーン1杯からはじめる」という文言がある。
本を読むまで、この文言の意味がいささか不明瞭だった。が、これは即ち「たくさんの量を無理やり完食させる必要はまったくない」ということだ。スプーンに乗せた料理を、とりあえず一舐めしてくれればそれでいい。
無論、その分だけ栄養は満点だ。


はじめての猫の手づくりレシピ

これならば、人間が食べても構わないのではないか?
それもそのはずで、著者の浴本氏は中医学や薬膳を学んだ経歴があるそうだ。なるほど、どうりで人の健康にも良さそうなレシピが並んでいるはずだ……と、つい感心してしまった。
とにかく、この本で紹介されている手づくり食は不自然な食材を一切使っていないという特徴がある。「不自然な食材」というのは、専門店や特定の業者しか取り扱っていない特殊な材料という意味である。浴本氏が取り扱うのは、いずれもスーパーマーケットで手に入る一般的な食材。手間のかかる調理法も使っていない。
肩の力を抜いて始められる手づくり食の解説書、とまとめれば概ね正解か。

山と溪谷社
2020年3月9日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

山と溪谷社

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