中国の行動原理 益尾知佐子著

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中国の行動原理

『中国の行動原理』

著者
益尾 知佐子 [著]
出版社
中央公論新社
ジャンル
社会科学/政治-含む国防軍事
ISBN
9784121025685
発売日
2019/11/20
価格
1,012円(税込)

書籍情報:openBD

中国の行動原理 益尾知佐子著

[レビュアー] 篠田英朗(国際政治学者・東京外国語大教授)

 長く中国を分析してきた著者が「研究者としての自分をなかば振り切り、専門分野を度外視して、できるだけ直感的な説明を心がけ」て書いた。

 「中国共産党の統治体制」は、「中国共産党と人々との関係性」を検討しなければ、理解することができない。この著者の「直感」は、「共産党が資本主義を推進する」「キメラ体制」の解明へと向かう。

 そこで、「中国の社会構造は家父長を頂点としており、家父長のバイオリズムによって組織の動き方に波が生じる」という行動原理に対する著者の洞察が示される。「党中央という家父長の下に、党と軍と国の多数の息子たちが並列」しているのが、「中国という共同体の統治の基本形」なのだという。

 確かに、研究者としてはやや踏み込んだ断定的な表現が、本書の議論の骨格となっている。ただし、その一方で、実際の叙述のほとんどは、圧倒的な重厚感を持つ。第一線の研究者の醍醐(だいご)味にあふれた新書だということだ。

 新型コロナウイルスへの中国共産党政府の対応が注目された今だからこそ、本書から示唆を得る人も多いはずだ。(中公新書、920円)

読売新聞
2020年3月2日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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