組織の成功の鍵は「部下の主体性」。課題発見型のフォロワーシップ

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トップ3%の人は、「これ」を必ずやっている

『トップ3%の人は、「これ」を必ずやっている』

著者
伊庭 正康 [著]
出版社
PHP研究所
ジャンル
社会科学/経営
ISBN
9784569845982
発売日
2020/02/28
価格
1,650円(税込)

書籍情報:openBD

組織の成功の鍵は「部下の主体性」。課題発見型のフォロワーシップ

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

トップ3%の人は、「これ」を必ずやっている 上司と組織を動かす「フォロワーシップ」』(伊庭正康 著、PHP研究所)において著者は、もっとスマートに自分らしさを貫き、同時に、会社にとってなくてはならない存在になるーーそんな高い次元で、「自分らしさ」と「組織人としての影響力」のバランスをとる方法を紹介しているのだといいます。

その鍵は、「フォロワーシップ」にあります。 フォロワーシップとは、上司の「至らない点」や「見えていない点」があれば、積極的にサポートし、組織を良くするために影響力を発揮するスキルのことを言います。決して、忖度することやイエスマンになるといったことではありません。

「仕える」のではなく、「支える」――。

それが、フォロワーシップの基本姿勢。カーネギーメロン大学のロバート・ケリー教授の著書『The Power of Followership』(邦訳『指導力革命―リーダーシップからフォロワーシップへ』牧野昇訳/プレジデント社)によって注目を浴びた、アカデミックな裏付けのあるグローバルスキルです。(「はじめにーー会社が「手放したくない」と思う人が、必ず持っているもの」より)

そこで、いまでは選抜型リーダー開発の必須項目であるともいえるフォロワーシップを知ってもらいたいと感じ、著者は本書を著したというのです。

そんな本書のなかから、きょうは第4章「職場の『複雑な問題』を解決する方法」に焦点を当ててみることにしましょう。

「見えない問題」に気づく人になる習慣

「三年ほどぼやぼやしてるともうすっかり地位が変わってしまうほど、商売も激変する時代である」(約50年前の昭和44年、松下幸之助が社員に語った言葉)(122ページより)

パナソニックの創業者である松下幸之助が残した上記のことばに現れているとおり、いつの時代も経営は「安定」とは無縁

アマゾンCEOのジェフ・ベゾス氏も、「アマゾンもいつかは崩壊する」と言い切っています。つまり社長たちには、そのことが見えているわけです。

だからこそ現場の一線を担う中堅社員こそ、手遅れにならないよう、もっと早く問題に気づかなければならないということ。

しかし、そのためにはどうしたらいいのでしょうか?

この問いに対して著者は、まず1年後を見るようにしてみることを勧めています。そして、そのうえで、“1年後を「点数」で評価してみる”習慣をつけるべきだというのです。

たとえば1年後のことを考えて、次の質問に答えてみてください。

① 1年後、あなたの職場は、万全でしょうか?(10点満点で、何点ですか?)

② 1年後、あなたの会社が提供するサービスのお客様満足度は大丈夫ですか?(10点満点で、何点ですか?)

(123ページより)

即答は難しかったかもしれませんが、実は何点でもよいのだとか。つまり大事なのは、先のことに関心を示すこと。

“なにがあれば10点になるか”、その要素を自分なりに考える習慣があるかどうかが重要だというのです。

とはいえ、自分の仮説だけでは思い込みになりかねないのも事実。自分で評価するだけでなく、同僚や上司、あるいはお客様に尋ねる方法も効果的だといいます。

自分の評価だけだと、どうしても偏りが出てしまうわけです。

なお著者は、そのための方法として次の2つを勧めています。

① 会話で聞く

② サーベイ(アンケート)で確認する

(124ページより)

具体的には、お客様には「会話」で尋ね、職場の状況は定期的に「サーベイ」で確認する方法がよいということです。

なぜなら、お客様の不満や不便はわざわざ言うほどのことでもないことが多く、アンケートではわからないことが多いから。

一方、社内にアンケートが適しているのは、組織の見えない問題を多面的、定期的に把握できるようになり、改善度の進捗も把握できるから。

できる人は、問題をネガティブなものと捉えず、成長の機会と考えるものだそうです。むしろ、問題がないことを恐れるのだとか。

「問題は、探してでも見出す」くらいの姿勢が、本当の経営者マインドだということ。(122ページより)

会議室は「満室」。でも、「満席」ではない?

最近はどの会社でも、会議室が足りないといった問題が頻発しています。

そこで「外部の会議室を借りるべき」といった提案を上司にすることも悪くはないものの、それだけでは検証が十分だとはいえないと著者。

そもそも、会議室不足の「本当の理由(真因)」をたどると、外部会場を借りずとも解決できる方法もあるわけです。まず、検証の手順があります。それがこれ。

① 仮説を立てる(ひょっとしたら、解決のヒントはここかも)

② 事実を細かく見る(一度、きちんと見てみよう)

③ 新たな仮説(課題)を立てる(こうすれば、いけるんじゃないか?)

(126~127ページより)

こうした流れで考えると、複雑な問題も解決できるようになるということです。

たとえば、会議室は常に全部屋が満室の状態だったとしましょう。しかし8人部屋を5人で使っているケースもあるでしょうし、「部屋は『満室』だけれど、『満席』ではないのではないか」と考えることもできます。

「部屋」ではなく「席」で見ると、まだ余裕があるかもしれないという仮説が立つわけです。

次は、事実の把握。

予約時に記載された参加人数が、必ずしも正しいとは限りません。そんなとき事実を把握するためには、現地・現物を見ることが大切。

そんなとき(刺激を与えればカウントする)センサーを椅子の座面に貼りつけたとすれば、6人部屋なのに3人で利用しているなどがわかります。部屋は満室だったとしても、細かく座席数で見ると、まだ余裕があることが把握できるわけです。

そこで重要な意味を持つのが、「部屋の仕切りを変えるだけで解決するのではないか?」など、解決に向けての課題を設定すること。

そうすれば、椅子の利用率が最大化するように部屋の間仕切りを変えようという発想に行き着き、“会議室問題”は一気に解決するわけです。

たとえばこのように、複雑そうに見える問題でも、正しい手順を踏めば解決できるということ。

そうした視点を持つことも、フォロワーシップのひとつの活用法といえるのかもしれません。(126ページより)

前出のロバート・ケリー教授は、「組織の成功の8割は、部下のフォロワーシップによるものだ」と言っているのだそうです。

つまり組織の成功は、(上司ではなく)部下の主体性にかかっているということ。

そんな主体性を発揮できる部下を会社が放っておくはずもなく、それどころか他の会社も放っておかないということ。

そんな人材になるためのヒントが、本書には数多く掲載されています。将来に向けて一歩先を目指したいのであれば、ぜひとも参考にしたいところです。

Photo: 印南敦史

Source: PHP研究所

メディアジーン lifehacker
2020年3月12日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

メディアジーン

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