【児童書】『さくらの谷』富安陽子文、松成真理子絵

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【児童書】『さくらの谷』富安陽子文、松成真理子絵

[レビュアー] 産経新聞社

 枯れ木に覆われた山を行くと、満開の桜に埋め尽くされた谷が現れた。お花見をしていた鬼と遊んでいると、桜の木の陰に、すでにこの世を去ったおばあちゃんやお母さん、お父さんの姿が。みんなここで遊んでいたんだね。そう思った瞬間、谷じゅうの桜がいっせいに花びらを散らした-。

 昨春、父親を亡くした著者が葬送の日の夜に見た夢を作品化した本書。親しい人を亡くした悲しみを、美しい桜の花が癒してくれる。桜の季節。懐かしい人が遊ぶ不思議な谷に行ってみたくなる。(偕成社・1300円+税)

産経新聞
2020年3月15日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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