『1週間に1つずつ。 わたしと家族の幸せ時間をつくる52の習慣』
- 著者
- ブレット・ブレーメンソール [著]
- 出版社
- ディスカヴァー・トゥエンティワン
- ISBN
- 9784799325926
- 発売日
- 2020/03/20
- 価格
- 1,650円(税込)
自虐はせず、日常にユーモアを取り入れる。家族との関係を良好に保つコツ
[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)
『1週間に1つずつ。 わたしと家族の幸せ時間をつくる52の習慣』(ブレット・ブルーメンソール 著、手嶋由美子 訳、ディスカヴァー・トゥエンティワン)の原型になっているのは、著者が2016年に上梓した『毎日の暮らしが輝く52の習慣』。
同書がベストセラーとなった結果、多くの共感が寄せられ、著者はそこから大切なことを実感できたのだそうです。
それは、自分だけでなく、子どもやパートナー、親、きょうだいなど自分にとって大切な家族に、いつも健康で幸せに過ごしてほしいと多くの人が願っているということ。
もしかしたら、日常生活のなかでそう意識する機会はさほど多くないかもしれません。
しかし、たしかにそのとおりではないでしょうか?
だとすれば、そんなささやかな、それでいて本質的な願いを実現するためには、なにをどのように始めたらいいのかを知りたくなるはず。
そこで、そのための具体的なメソッドやアイデアを網羅した本書が誕生したわけです。
本書では、「家族」を中心に、1年(52週)にわたって「心」「頭脳」「体」「絆(人間関係)」の側面から、小さな変化を積み重ねていくというアプローチをとっています。
家族ひとりひとりのエネルギや精神力、心の安定が高まることで、全員――とくに子どもたちが成長し、能力を最大限に発揮できるようになり、また暮らしを最大限に楽しみ、生活のあらゆる面で満足できるようになるのです。(「はじめに」より)
そんな本書のPART 1「豊かな心をはぐくむ」のなかから、“Week 1”「ユーモアを愛する」をピックアップしてみることにしましょう。
ユーモアを愛する
良質の笑いは万の傷を癒す。 ――マデレイン・レングル(アメリカの作家)
ユーモアあふれる生活には、大きなメリットがあると著者は記しています。
笑いによって、山あり谷ありの人生を楽しみ、体と心の健康を保つことができるというわけです。
つまりストレスの多い現代の生活においては、笑うことが万能薬になると考えることもできるでしょう。
なぜなら私たちが笑うとき、とくに誰かと一緒に笑うときには、脳が気分を高め、気持ちを鎮め、痛みを軽くするエンドルフィンという神経伝達物質を分泌するから。
また、エンドルフィンが生成されると、血圧や心拍数を下げる効果も期待できるのだそうです。
事実、笑いは動脈硬化を改善し、ストレスホルモン、コルチゾール値を下げるため、新機能や血管機能の向上につながるという研究結果も出ています。
65歳以上の男女、2万人以上を対象とした大規模な調査からは、笑わない、あるいはほとんど笑わない人の場合、毎日笑うと回答した人と比べて、心血管疾患に見舞われる確率は1.2倍、脳卒中は1.6倍にもなることが明らかになりました。
また笑いには、免疫機能を高める効果もあるのだといいます。
複数の研究結果から、笑いがナチュラルキラー細胞―感染症の拡大や腫瘍の増殖を抑える白血球―の生成を活発化することがわかっているというのです。
だから、笑いは人と人とを結びつけ、絆や関係を強めてくれるということ。楽しく笑うことで、家族により多くの喜びや幸せがもたらされるわけです。
また、それは子どもたちに対し、浮き沈みの多い人生を生き抜くための術を学ばせることにもなるでしょう。
そればかりかユーモアのセンスにあふれた夫婦は、仲がよく前向きで、夫婦関係の満足度も高い傾向にあるのだそうです。
ユーモアと笑いの専門家であるロッド・マーティン博士によると、ユーモアのセンスは遺伝と環境によって決まるそう。でも、笑うのが苦手な人も心配なし。
自分が楽しいと感じる活動に集中して取り組むようにすれば、ユーモアのセンスを高めることができるからです。(12ページより)
家族の幸せのために心がけたい習慣:1
ささいなミスは気にしない
テーブルにスマホを置き忘れたとか、スリッパのまま出勤してしまったとか、日常生活のなかではちょっとしたミスがあるもの。
しかし、そんなときは必要以上に深刻にならず、笑い飛ばしてしまえば、朝の失敗を引きずらなくてすむはず。
明るくおおらかな気持ちでいると、失敗や変化に影響されることが少なくなるわけです。
とはいえ、ひとつだけ注意が必要だと著者は言います。
前出のロッド・マーティン博士によると、自虐的なユーモア(他人に気に入られようとして自分を軽んじる姿勢)は否定的な考え方につながるというのです。
大切なのは、あくまでもミスを深刻に考えすぎない姿勢。それこそが、ポジティブな日々につながっていくということです。(14ページより)
家族の幸せのために心がけたい習慣:2
毎日の暮らしに遊び心を
子どもはどんなことにも笑いの種を見出す達人ですが、同じように、日常生活のなかで、家族が大笑いしそうなものを探すことも大切。そこで著者が勧めているのは、ジョークを言うこと。
ジョークの飛び交う明るい家庭は、子どもにとっても大人にとっても心地よく感じられるわけです。(14ページより)
家族の幸せのために心がけたい習慣:3
なりきり仮装パーティで楽しんで
好きなキャラクターのコスプレや楽しいテーマを活用し、子どもたちと一緒に仮装パーティを開くのもひとつの手段。
ハロウィーンまで待つまでもなく、ヘンテコな帽子や派手なウィッグ、アクセサリーなどをつけて写真を撮ればOK。
たったそれだけのことで、あっという間に家族全員が笑い出すことになるでしょう。(15ページより)
家族の幸せのために心がけたい習慣:4
童心にかえっておどけてみる
誰しも毎日、家事や仕事に気を張っているものです。だからこそ、たまにはくだらない歌を歌ってみたり、変顔をしてみたりしてはいかがでしょうか?きっと家族も大笑いしてくれるはず。
子どもと一緒に愉快な替え歌を歌ったり、物真似クイズをしたりすれば、子どもはもちろん自分自身も緊張から解放され、気分がスッキリすることでしょう。(15ページより)
家族の幸せのために心がけたい習慣:5
笑える画像や動画でエネルギーをチャージ
スマートフォンが普及した現代においては、日常のちょっとした瞬間を簡単にとらえることができるようになっています。そこで、笑える画像や動画をなるべく保存しておこうと著者は勧めています。
疲れたときや落ち込んでいるときにそれらを見返せば、多少なりとも元気になれるはずだから。
また、家族のほほえましい画像をプリントアウトしてキッチンやパソコンに貼っておけば、いつでも楽しい気分になれるに違いありません。(14ページより)
たとえばこのように、52週をかけ、一定の進歩が実現できるように本書はつくられているわけです。
とはいえ、必ずしも順序に従わなければいけないわけではないそうです。
自分にとっていちばん効果的な方法で取り組めば、それだけでも十分な効果が期待できるということ。
肩肘を張ることなく、自分にとって有効な部分だけを取り入れることもできるので、利用価値は大きそうです。
Photo: 印南敦史
Source: ディスカヴァー・トゥエンティワン