ホークス・甲斐拓也、名捕手・野村克也の背番号「19」に恥じない活躍を誓う

インタビュー

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野村克也の「人を動かす言葉」

『野村克也の「人を動かす言葉」』

著者
野村克也 [著]
出版社
新潮社
ISBN
9784103532712
発売日
2020/03/12
価格
1,375円(税込)

野村さんの想いを胸に

[文] 新潮社


甲斐拓也捕手(福岡ソフトバンクホークス)

甲斐拓也(福岡ソフトバンクホークス)・インタビュー「野村さんの想いを胸に」

2月11日に急逝した野村克也氏が残した功績とは何か? 今回、野村氏の人生哲学を記録した『野村克也の「人を動かす言葉」』の刊行を機に、球界を代表する捕手にして野村氏以来、43年ぶりに「ホークスの背番号19」を継ぐ甲斐拓也選手が野村氏との思い出や胸に秘めた思いを明かした。

「お互い、似ているね」

――今季から、甲斐さんがホークスでは43年ぶりとなる捕手の「19番」を背負う矢先に飛び込んできた、野村克也さんの訃報でした。

甲斐 本当に驚きました。昨年、背番号変更が決まってから、野村さんに直接報告できていなかったんです。2月になってキャンプに入れば、そこでお会いできるのかな、と思っていましたから。

 今回の本で、今季から僕が19番を背負うことに触れてくれていますね。最後の「大いに期待しているよ」というメッセージは、有難いと同時に、身の引き締まる思いでした。

――同じ箇所で野村さんも書かれていますが、甲斐さんは高校時代から、野村さんの著書を読まれてきたそうですね。

甲斐 僕がキャッチャーを始めたのは、(楊志館)高校2年からです。上達するには練習はもちろん、色々勉強しないといけないと、本を読むことにしたんです。すると、自然に手に取っていたのが野村さんの本でした。キャッチャーの神様のような方ですからね。実際に読んでみるとためになることばかりで。それ以来、手放せなくなりました。

 いつかお会いしたいなと思っていたのですが、2017年7月、東北楽天ゴールデンイーグルスとの試合で仙台に行った際、テレビの仕事で来ていた野村さんとお話できたんです。偉大な存在だけに緊張しましたが「野村さんの本をずっと読んでいます」と言うと、喜んでくださって。同じホークスでキャッチャー。野村さんはテスト生で僕は育成という一番下からのスタートで、母子家庭。「お互い、似ているね」と仰っていました。


「野村克也の『人を動かす言葉』」を手にする甲斐拓也捕手

 その後もキャンプ取材や対談などでお会いして、「いつか君にホークスのキャッチャーとして19番をつけて欲しい」と言って頂いて。それだけに、19番のユニフォーム姿を、野村さんに見て欲しかった。どんな表情をされるのか、そしてどんな感想を言われるのか、すごく気になっていただけに、訃報に接したときは、残念でならなかったです。

――今作では、言葉の力、とくに人を動かすために効果的な言葉とその使い方について、ご自身の経験をもとに野村さんが書いています。

甲斐 言葉をテーマにした野村さんの本はこれまでにもありましたが、「私が言う『言葉の力』とは、『人を動かす力』である」という今回のテーマとそれぞれのエピソードは、自分の経験と絡めて読んでも、改めて「なるほど、そうだな」と思うことが多かったですね。

 もう一つ、これまでの野村さんの本とは違うな、という印象を受けたのは、エピソードが細かくて、何年のどの試合で、バッターが誰で何球目がどうなってと、非常に細かく描写されている点です。さすがに僕は、野村さんの現役時代は知りません。でも、当時の時代背景なども詳しく書いてあり、読んでいて、本当に楽しかった。

新潮社 波
2020年4月号 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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